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自律して動く組織へ

posted at 21:09:49 on 2006-03-08 kaz | Category: オンモード

日経BP社の技術経営メールにて私のコラム 「生島の技術戦略思考第6回 自律して動く自立した組織へ」 が昨日配信された。

今回は、昨今の環境の変化に素早く対応するための自ら考えて行動する組織に関する話だ。
以下、再掲する。

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■■生島の技術戦略思考第6回 自律して動く自立した組織へ■■
変化は少しずつ、だが後戻りしない形で確実に現れてきている。

もの作りに関して、「よいものを作れば売れた時代」は長く続いた。
もの作りが成熟していない時期には、「よいもの」自体が価値を持ち、
それを見極める目を持つのが賢い消費者であった。
ところが、もの作りの技術が成熟してくると、その状況は変わり始める。

圧倒的な技術的優位を持てる製品なら問題はない。
しかし、昨今のデジタル機器は従来のアナログ機器と違い、生産技術や設計の
ノウハウが競争力の差に直結しなくなっている。このため、アナログ時代の
垂直統合型のメリットが失われ、デジタル機器の新製品はあっという間に陳腐化する。

以前は製品の機能を競うことが重要視されていた。ときに購入側の意思を無視した
機能競争が行われていた。供給側が主導権を持っているときはそれでもまだよかった。
しかし今や、主導権は買う側に移ってしまった。コンシューマー商品を見れば、
性能はよくて当たり前、サービスもよくて当たり前である。
その上で、感動と驚き、共感が求められる。

こうした変化を自らのビジネスモデルにどう組み込んでいくか。
そのための人と組織はどうあればよいのか。今、ここが問われている。

対応を誤れば大きな組織でもあっという間に傾く。いや、大きな組織ほど対応が難しい。
過去の時代に即して作り上げられた組織、過去の成功体験が染み付いている人、
いずれも変化に対応できなくなっている。

これまで日本の組織において、管理は行われていたが、本来の意味のマネジメントは
行われておらず、その代わりに現場が柔軟に状況の変化をうまく取り込んでいた。
私はこう考えている。このやり方で業務の遂行は十分可能だったし、ルーティン化・
マニュアル化していないことで日本の現場はかえって強味を発揮できた。
高度成長期は進むべき方向がある程度決まっており、小さな変化なら現場で柔軟に
対応できたこともある。

しかし最近の環境変化を、現場はなかなか吸収できなくなっている。
環境の変化に合わせて組織を変えられない企業が少なくない。
ここでいう組織の変化には、表面的な組織改変だけではなく、
社風や組織風土など人の考え方に起因する諸々に関する変化も含んでいる。

こうなるとマネジメント不在の弱点が出てくる。大きな変化に自由な発想で柔軟に
対処する能力を持った人間が現場に少ない、という点も弱みになる。本来、お客様の
求めるものに共感し、お客様の考えを社内に持ち込めるのは現場なのである。

もの作りに関しては、お客様と接する現場と、もの作りの現場が離れているという
問題もあり、これについても解決しなければならない。距離を克服し、
お客様の変化や意思を汲み取ったとして、今度はお客様から得た情報をもの作りに
活かす仕組みを作る必要がある。

一方、従来製品の開発に加え、新しい技術や製品、サービスを生みだし、
次の、そしてそのまた次の成長曲線を生み出す仕組みを考えないといけない。
既存の製品を新たな市場で展開するビジネス上の革新も今まで以上に求められている。

これらは技術革新にとどまらず、プロセスや仕組みの革新まで含めた、
正にイノベーションである。このイノベーションを生み出す仕組みが今、
求められている。そして、これらの仕組みを支えるのが人であり、組織である。

当たり前の発想や、ルーティンとなった日常の仕事の延長からは、なかなか次の
成長曲線を描く製品やサービスは生れてこない。人のやる気を引き出し、面白い
企画や新しい技術の芽を育てるためには、環境から変える必要がある。
異能の技術者の力をビジネスに積極活用していかなければならない。

そのためには経営トップがダイナミックに動くことが大事だが、現場一人ひとりが
自立し、自ら考える自律した組織になることも求められる。
そうすることで時代の変化に対応し、新しい成長曲線を描く方策が出てくる。
これができて初めて、スピードの点でも発想の点でもイノベーションが可能になる。

それにはまず、能力のある人間を、その能力を発揮できる環境に置く以外にはない。
能力のある人間は、信頼され、責任を与えられると自ら動き始めるものである。
自分の力を発揮できる環境に置かれると、人間は力を発揮できるようになる。
自分が必要とされていること。決定に関与できること。これらが満たされると、
人は能力を発揮する。

今伸びている企業は、これらの仕組みや風土、人材の育成策をうまく一つの構造の
中に取り込んだ企業である。トップが方向を指し示し、下がその意を汲んで、
創意工夫に励むというわけだ。

現実はどうだろう。残念ながら、優秀な人が多く入社する大会社ほど、
優秀な人がその優秀さを発揮できる環境にいないことが多い。
優秀な人間が現場で腐ってしまうと、やがて企業全体にその影響が及ぶ。
ダメージはボディブローのように長い時間をかけて効いてくる。
この場合、なかなか業績不振の直接的原因は分からないものだ。

自律的に動く人や組織をその中に持つ企業こそが、今の時代に素早く対応できる。
こうした企業を作り上げる方法は一通りではない。企業の環境も歴史も風土も、
そして人も違うからだ。間違いないのは、これができていない企業に手厳しい
現実が待っているということだ。

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(過去のコラム バックナンバーにも追加しました)


アイキット ソリューションズ
生島大嗣

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