潜在ニーズを見つけるというセンス ~ その1
posted at 09:50:57 on 2011-12-02 kaz | Category: オンモード
今朝のNHKの番組の日本一明るい経済新聞の竹原編集長が出演しているコーナーで取り上げられていたのが、株式会社エンジニアという小さな工具会社が開発し販売しているネジザウルスという商品。
錆ついたり、頭の部分が潰れてしまったネジを取り外すことのできる隠れたヒット商品とのことで、これを開発した経緯が紹介されていました。
この会社の独自の理論に「MPDP理論」というものがあるそうで、それぞれ
M:マーケティング
P:パテント
D:デザイン
P:プロモーション
の頭文字とのことでした。
私が今回着目したのはこのMPDPで紹介されていた「M」の部分です。
この会社は商品を買ってくれた顧客にアンケート調査を行っており、この結果から生まれた商品ということなのです。
「アンケート調査ならどこでもやっているよ」
「うちでもやっている」
なんて声も聞こえてきそうですが、この商品の開発経緯がちょっと面白いのです。
余談ですが、この会社のMPDP理論では、アンケート調査から商品開発をすることをマーケティングと位置付けていますが、マーケティングとは既にある価値を顧客に伝えることと定義すると、この会社のいうマーケティングは厳密にはマーケティングではありませんね。
新しい付加価値を作り出したのですから、これは「イノベーション」に当たると私は考えています。
それはさておき、ネジザウルスは、頭のところが潰れてしまいドライバーで回せなくなったネジを掴んで回すことができる工具で、アンケート結果から生まれたとのことです。
アンケート結果の上位には、工具にはバネを付けて欲しいとか一般に誰でも思うようなことが並んでいましたが、この会社が注目したのは要望数では5位の「小さなネジや、平らなネジといったどんな形状のネジでも確実に掴んで回せるようにしてほしい」というものでした。
私が面白いと思ったのは、敢えてアンケート結果の下位のものに着目することで、多くの人びとが気がつかない潜在化したニーズを掘り起こした手法です。
潜在化したニーズとは、普通は気がつかない、またはできないと知らず知らずに思い込んだりしてしまっているけれど、一旦気がつけばそれが欲しい、なくては困るというものです。
Googleの検索エンジンなどはそのもっとも大きなものだと思います。検索エンジンができる前は、多くの人はそのニーズに気がついていませんでしたが、一度知ってしまい顕在化してしまったら、今度はそれがないと不便になってしまいます。
そして困ったことに、潜在的ニーズとは普通はアンケート結果には出てこないものなのです。
潜在化して誰も気がついていないのですからアンケート項目を作る際にもそれらはアンケートに盛り込まれません。
回答する方も気がついていないのですから、アンケート結果に反映されることはほとんどありません。結果に反映されたとしても、それは多くの人が回答する上位に出てくる項目ではなく、ほんの少数の人だけが回答した普通では無視される下位の項目として扱われます。
しかしこの潜在的ニーズに気が付けば、他社がまだ気が付いていない大きなニーズを掴むことが可能になるのです。
以上述べたように、ニーズには誰でもがわかる「顕在化したニーズ」と人びとが気づいていない「潜在化したニーズ」があります。
この工具会社は、「潜在化したニーズ」を掘り起こしたわけです。
さて、この二つのニーズについてもう少し考えてみましょう。
「顕在化したニーズ」に注目して経済が活況を呈しているのが中国です。
そしてそれとは対照的に「潜在化したニーズ」を掘り起こして次々と新しい商品、サービスを打ち出してくるのがシリコンバレーに代表される米国です。
中国では、千歳一隅のチャンスを掴み一発儲けるために、誰もが欲しがるものを作ろうと作り手が群がってきます。人びとが欲しがるものにはコピーでもニセモノでもよいからそれを供給し、ビジネス機会を掴もうとします。
携帯電話が流行っているとなると、誰もがその携帯電話を供給し儲けようと殺到します。その結果、年間9億台という中国の携帯電話の半数以上の5億台がコピー商品、ニセモノを意味する山寨携帯電話になっています。
この辺りのことは、ここで何度も紹介しています私が出版プロデュースした『中国モノマネ工場――世界ブランドを揺さぶる「山寨革命」の衝撃』に詳しく書かれています。
ブランド品が買えない人びと向けに、とにかく安い携帯電話を供給するというビジネス、言い換えると顕在化したニーズをビジネス機会と捉えてコピーでもニセモノでもよいからとことんそれに応えようとする機会最優先のビジネスが展開されている国が今の中国と定義できるでしょう。
さて、「潜在化したニーズ」に強いのがシリコンバレーに代表される米国です。
GoogleやYahoo、Amazon、iPhoneやiPadで伸びているAppleをはじめ、最近では位置情報サービスのForesquareやSNSのFacebookなど次から次へと今までにない新しい商品やサービスを創り上げています。
一体どうやればこんなに潜在化したニーズを掘り起こすことができるのでしょうか。
シリコンバレーにあるひとつの会社がそのヒントに繋がるかもしれません。
その会社とは、シリコンバレーを代表するデザイン会社として有名なIDEO(アイデオ)社です。
この会社のデザイン手法が正に潜在化したニーズを掘り起こしてそれを商品化する手法なのです。
長くなりましたので、IDEO社の手法については次回に詳しく述べたいと思います。
アイキットソリューションズ
生島大嗣
錆ついたり、頭の部分が潰れてしまったネジを取り外すことのできる隠れたヒット商品とのことで、これを開発した経緯が紹介されていました。
この会社の独自の理論に「MPDP理論」というものがあるそうで、それぞれ
M:マーケティング
P:パテント
D:デザイン
P:プロモーション
の頭文字とのことでした。
私が今回着目したのはこのMPDPで紹介されていた「M」の部分です。
この会社は商品を買ってくれた顧客にアンケート調査を行っており、この結果から生まれた商品ということなのです。
「アンケート調査ならどこでもやっているよ」
「うちでもやっている」
なんて声も聞こえてきそうですが、この商品の開発経緯がちょっと面白いのです。
余談ですが、この会社のMPDP理論では、アンケート調査から商品開発をすることをマーケティングと位置付けていますが、マーケティングとは既にある価値を顧客に伝えることと定義すると、この会社のいうマーケティングは厳密にはマーケティングではありませんね。
新しい付加価値を作り出したのですから、これは「イノベーション」に当たると私は考えています。
それはさておき、ネジザウルスは、頭のところが潰れてしまいドライバーで回せなくなったネジを掴んで回すことができる工具で、アンケート結果から生まれたとのことです。
アンケート結果の上位には、工具にはバネを付けて欲しいとか一般に誰でも思うようなことが並んでいましたが、この会社が注目したのは要望数では5位の「小さなネジや、平らなネジといったどんな形状のネジでも確実に掴んで回せるようにしてほしい」というものでした。
私が面白いと思ったのは、敢えてアンケート結果の下位のものに着目することで、多くの人びとが気がつかない潜在化したニーズを掘り起こした手法です。
潜在化したニーズとは、普通は気がつかない、またはできないと知らず知らずに思い込んだりしてしまっているけれど、一旦気がつけばそれが欲しい、なくては困るというものです。
Googleの検索エンジンなどはそのもっとも大きなものだと思います。検索エンジンができる前は、多くの人はそのニーズに気がついていませんでしたが、一度知ってしまい顕在化してしまったら、今度はそれがないと不便になってしまいます。
そして困ったことに、潜在的ニーズとは普通はアンケート結果には出てこないものなのです。
潜在化して誰も気がついていないのですからアンケート項目を作る際にもそれらはアンケートに盛り込まれません。
回答する方も気がついていないのですから、アンケート結果に反映されることはほとんどありません。結果に反映されたとしても、それは多くの人が回答する上位に出てくる項目ではなく、ほんの少数の人だけが回答した普通では無視される下位の項目として扱われます。
しかしこの潜在的ニーズに気が付けば、他社がまだ気が付いていない大きなニーズを掴むことが可能になるのです。
以上述べたように、ニーズには誰でもがわかる「顕在化したニーズ」と人びとが気づいていない「潜在化したニーズ」があります。
この工具会社は、「潜在化したニーズ」を掘り起こしたわけです。
さて、この二つのニーズについてもう少し考えてみましょう。
「顕在化したニーズ」に注目して経済が活況を呈しているのが中国です。
そしてそれとは対照的に「潜在化したニーズ」を掘り起こして次々と新しい商品、サービスを打ち出してくるのがシリコンバレーに代表される米国です。
中国では、千歳一隅のチャンスを掴み一発儲けるために、誰もが欲しがるものを作ろうと作り手が群がってきます。人びとが欲しがるものにはコピーでもニセモノでもよいからそれを供給し、ビジネス機会を掴もうとします。
携帯電話が流行っているとなると、誰もがその携帯電話を供給し儲けようと殺到します。その結果、年間9億台という中国の携帯電話の半数以上の5億台がコピー商品、ニセモノを意味する山寨携帯電話になっています。
この辺りのことは、ここで何度も紹介しています私が出版プロデュースした『中国モノマネ工場――世界ブランドを揺さぶる「山寨革命」の衝撃』に詳しく書かれています。
ブランド品が買えない人びと向けに、とにかく安い携帯電話を供給するというビジネス、言い換えると顕在化したニーズをビジネス機会と捉えてコピーでもニセモノでもよいからとことんそれに応えようとする機会最優先のビジネスが展開されている国が今の中国と定義できるでしょう。
さて、「潜在化したニーズ」に強いのがシリコンバレーに代表される米国です。
GoogleやYahoo、Amazon、iPhoneやiPadで伸びているAppleをはじめ、最近では位置情報サービスのForesquareやSNSのFacebookなど次から次へと今までにない新しい商品やサービスを創り上げています。
一体どうやればこんなに潜在化したニーズを掘り起こすことができるのでしょうか。
シリコンバレーにあるひとつの会社がそのヒントに繋がるかもしれません。
その会社とは、シリコンバレーを代表するデザイン会社として有名なIDEO(アイデオ)社です。
この会社のデザイン手法が正に潜在化したニーズを掘り起こしてそれを商品化する手法なのです。
長くなりましたので、IDEO社の手法については次回に詳しく述べたいと思います。
アイキットソリューションズ
生島大嗣
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