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ソニーは“PSP Phone”、シャープは“Zaurus Phone”を出さないか?(日経BP)

posted at 15:50:31 on 2008-08-25 kaz | Category: オンモード

日経BP 日経Tech-On! 技術経営戦略考に私の論文記事「ソニーは“PSP Phone”、シャープは“Zaurus Phone”を出さないか?」が掲載されました。
25日23:29現在、日経BPトップ巻頭大見出しになっています。(時間が経てば入れ替わります)



nikkei BPnet

ちょっとサボっていると前回の掲載から半年以上経ってしまいました。
それはそうと、ソニー、 シャープのみなさん、コラボしませんか? (笑)

以下、再掲します。


「ソニーは“PSP Phone”、シャープは“Zaurus Phone”を出さないか?」
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 携帯電話の世界で最近の注目事項と言えば、先日日本でも発売されて話題になったアップルの「iPhone 3G」であり、もう一つはグーグルが提供する携帯電話用ソフトウエア・プラットフォーム「Android」だろう。

 日本の若いユーザーにとってiPhoneは、iPodの機能が付いたクールな携帯電話といった捉え方をされている。もっとも、ワンセグや電子マネーが使 えず、メールで絵文字を出せず、文字入力もしづらいから、短期間で機種を交換する日本のユーザーはすぐに使わなくなるという声も聞こえてくる。

 だが、私はiPhone単体ではなく、アップルのビジネスモデルに注目しており、Androidについても同じ見方をしている。iPhoneやア ンドロイドを使ったマシンは、ネット上にある両社のサービスにアクセスする手段を提供するものだ。つまり、両社は携帯電話を、自分の事業全体の価値を高め るビジネスモデルを組み立てるために必要な機器と位置付けている。したがって、従来の通信会社と携帯電話メーカーのビジネスモデル上に乗る機器ではもともとない。

 アップルは日本での展開でもソフトバンクというキャリアの色を限りなく少なくし、あくまでもアップルの製品として打ち出し、機器だけでなく、その 背後にあるアップル自身のサービスに誘導する環境を整えつつある。まず、iPhone用アプリケーションの開発キット自体は無償で提供し、サードパーティ 各社に先を争うようにアプリケーションを開発させるように仕向けている。そのアプリケーションを販売するために、ネット上の「App Store」を用意し、iPhoneにはApp Storeにリンクするためのアイコンを用意している。また、AppleCare Protection PlanというサポートサービスをiPhone にも適応する。

 iPhoneとの連携に優れたアプリケーションやサービスがサードパーティから数多く出てくると、それらがそのままiPhoneの魅力になる。サード パーティが作成したアプリケーションの配布の方法も面白い。売上高から一定の割合分をアップルに支払う訳だが、無償でアプリケーションを配布した場合は売 上高がゼロだからアップルに対して支払い義務はない。つまりフリーウエアとして流通させることを優先する作戦もとれる。

 iPhoneとネットの向こう側との連携を感じさせる例を挙げよう。最近日本語化され、日本でも話題になりつつあるFacebookという SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)がある。このFacebookはiPhoneとの連携が考慮されている。Facebookで友人に連絡先を 公開すると、iPhoneでログインしたFacebookの画面でタッチするだけでそのまま電話がかけられる。

 一方、グーグルのAndroidについても、GoogleマップやYouTubeといったネット上の数々のサービスに簡単に接続できる各種モ ジュールが用意されていくだろう。ネット上のサービスやコンテンツがリッチになり、あらゆるところから高速常時接続でネットにアクセスできる時代がそこま で来ている。このチャンスをつかむためのインフラ整備と考えると、iPhoneとAndroidの目指すところは明快である。


日本勢は新しいビジネスモデルを作れるか

 今までの延長では語れない、ネット上のサービスにアクセスすることにより成り立つ新たな世界でリーダーシップを発揮する企業が日本からも誕生して ほしい。NTTのiモードは、サービス込みのビジネスモデルの先駆けと言えるが、インターネットに出現してくるリッチなサービスやコンテンツにアクセスす る時代になると、そのビジネスモデルが古くなりつつある。

 だが、日本勢はアップルやグーグルのようなビジネスモデルになかなか取り組まないように見える。理由の一つはアイデアを出せないことだろう。優秀な生産 システムによって、性能が高品質の製品を作ることは合議制でできた。が、新しいコンセプトを生み出し、市場を変革させるようなビジネスモデルは強い個性、 それもトップダウンから生まれる。言い尽くされたことかもしれないが、彼我の差はやはりある。さらに、新しいビジネスモデルを思いついても、それをうまく 実現できない問題もある。事業部の壁、既存ビジネスとの兼ね合いという、これまたいつもの理由である。

 例えば、こんな製品とサービスはどうだろう。iPod touch に対して iPhoneがあるように、PSPに対してPSP Phoneという製品コンセプトがあり得るのではないか。ソニーはグループの中に、ゲーム機と携帯電話の両事業を抱えている。PSPの知名度と優秀なハー ドウエア技術が揃っている。PSP Phone に3G機能か次世代高速通信モジュールを積めば世界は大きく広がるのではないか。

 PSP Phone には当然、iPodにお株を取られた音楽プレーヤーの機能とサービスを盛り込むことになる。アップルはゲーム機を持っていないから、ソニーにアドバンテー ジはある。PSP Phoneは、通話、ゲーム、音楽、さらにはビジネスアプリケーションのプラットフォームになり得る可能性を秘めていると思う。

 ただし、いくら強力なCPUを積み、小型化の粋を極めても、ソフトウエアやサービスがついてこないと始まらない。一番大切なのは PSP Phone そのものではなく、PSP Phone の向こう側に広がるワクワクする世界を、サードパーティの力を借りてどう創るかである。
シャープの逆張り戦略に期待

 もう一社、私が興味を引かれる会社にシャープがある。シャープは逆張りの戦略を得意とするようで、他社が中国進出を競っていた頃、国内に留まり液 晶工場を建設した。ここへ来て、NECをはじめとする日本企業が中国の携帯電話機事業から撤退したのに対し、シャープは高機能携帯電話機による中国進出を 発表したりしている。もちろん、やみくもに他社と違う戦略をとっているわけではなく、「今までにない付加価値の創造と提供を可能にすること」を考えて他社 と異なる道を選んでいる。

 そのシャープは携帯電話機事業で、なかなか面白いスマートフォンを開発している。たとえば、最近、ウイルコムには D4と呼ばれる、Windows Vistaを搭載したスマートフォンを提供し始めた。Wi-Fiも搭載しているし、W-SIMカードを入れ替えるだけで、ウイルコムの次世代高速通信 WILLCOM COREにも対応できるのだろう。この小さな筐体の中でWindows Vistaを動かしている点は技術的にはすごいと思う。
 シャープという会社は、昔からいくつかの製品を組み合わせるのが好きだった。電卓とそろばんを組み合わせた商品を実際に生産していたこともある。 組み合わせ好きによって、携帯電話にWindows Vistaを搭載したのかも知れない。だが、得意技かもしれないが、もう一歩踏み出して欲しいと思う。

 というのは、ちょっと考えてみれば分かるように、「D4でないとできないこと」はあまりない。5万円台にまで下がったWi-Fi付きB5ノートパソコン にVistaを入れデータ通信カードを挿せば事足りてしまう。D4の小型化技術には敬意を表するが、このままでは一部の熱狂的なファン以外に普及しそうにない。

 シャープは一世を風靡した、携帯情報端末Zaurusを持っており、ビジネスパーソンの間にファンも多い。Zaurus Phoneを出せないだろうか。シャープは過去にベンチャーと協力して、Linuxが動くZaurusを使ったIP電話のサービスを実験したこともある。 技術的な問題から製品化は実現しなかったが、Zaurus Phoneはありえると思う。そのとき、機能や技術、既存のOSを組み合わせるだけではなく、アップルが取り組んでいるように、Zaurus Phoneの向こう側に新たなビジネスモデルを展開することを期待したい。

 組み合わせという意味では、アップルも同じではある。iPhoneのOSは、Mac OS Xを基にしており、そのOS XのルーツをたどるとUNIXに行き着く。ただしMacやiPhoneを見てもそれがUNIX由来のOSを搭載しているとはユーザには分からない。OSを 前面に出さず、操作性に優れたGUI(グラフィカル・ユーザー・インタフェース)で包んでしまった。


ビジネスモデルと要素技術の両方が必要

 「事業力」は、「ビジネスを生み出す仕掛け」と「コツコツ型の要素群」との掛け算だと思っている。仕掛けとはお金が回るところでビジネスモデルと言い換 えてよい。これに対してコツコツ型の要素群とは、「技術」「信用」「実績」「商品」「コンテンツ」「ブランド」といった、コツコツと積み重ねていくことで 生まれるもののことである。

 シャープにはコツコツ型の要素は揃っている。ブラウン管を持たなかったシャープは、自社で液晶ディスプレイを開発するのだという思いをトップダウンで実現した。トップの強い意思があり、シャープの技術力と組み合わせ力があれば、面白い仕掛けを生み出すことは夢ではない。

 例えば、Zaurus Phoneとシャープ製液晶テレビやDVDレコーダーを無線で連携させる。自宅や事務所で、Zaurus Phoneに入っている電子メールやスケジュールを液晶テレビ画面に映し出したり、DVDレコーダーのコンテンツをZaurus Phoneに転送したり、色々なことができそうだ。当然、インターネットの向こう側のサービスとシームレスに連携できることが必要だ。

 繰り返すが、ソニーのPSP PhoneもシャープのZaurus Phoneも単独の製品ではなく、インターネットの向こう側に広がる、私達の生活に役立つ面白いサービスにまで到達する手段としての価値を与えることが望 ましい。コツコツ型の要素群を組み合わせるだけでなく、これまでにない独創的戦略を持つビジネスモデルを両社には是非創り上げて欲しい。

著者紹介

生島大嗣(いくしま かずし) アイキットソリューションズ代表
大 手電機メーカーで映像機器などの研究開発、情報システムに関する企画や開発に取り組み、様々な経験を積んだ後、独立。既存企業、ベンチャーのビジネスモデ ルと技術の評価、技術戦略と経営に関するコンサルティング、講演などに携わる。現在は、イノベーション戦略プロデューサーとして活動している。生島ブログ 「日々雑感」も連載中。
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アイキットソリューションズ
生島大嗣

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Comments

X1Dユーザ wrote:

SHARPは、他にもT-mobileでside kickをだしたり実は、世界的に動いてますね。

2008-08-25 18:23:16

生島大嗣 wrote:

X1Dユーザさん
仰る通りシャープは動いていますね。
面白い会社だと思います。
だからこそ、ハード単体ではなくビジネスモデルでもう一歩突き抜けるものを出して尖がったなら、事業価値を高めて益々可能性が開けるのではと思うのです。
コメントありがとうございました。

2008-08-25 22:27:15

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