情報家電・IT産業の潮流とゆくえ 第2回 少数派がイノベーションを作る(大商ニュース)
posted at 20:32:27 on 2008-08-14 kaz | Category: オンモード
大阪商工会議所の機関紙 大商ニュース8月10日号に私が執筆しているコラム「情報家電・IT産業の潮流とゆくえ」の第2回 「少数派がイノベーションを作る」が掲載されましたので、ここに再掲します。
情報家電・IT産業の潮流とゆくえ 第2回 少数派がイノベーションを作る
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前回、切り捨てられる少数派について書いた。大勢を占める消費者の流れを無視する企業は淘汰されてしまうという昨今の厳しい環境について述べたのだ。
では、消費者に迎合し流れを追うばかりでよいのだろうか。
結論から言うとノーである。
私は企業の存在価値は、「今までにない付加価値の創造と提供を可能にすること」だと思っている。成熟市場で横並びの商品分野では、もはや新しい付加価値とは価格しかないのだろうか。
いや、製品・サービスそのものでなく、前回述べた事業全体の価値を高める方法はいくらでもあるのだ。その方法を使った新しいビジネスは、現時点では潮流の主役ではない、今までの常識に捉われない伏兵とでも言うべき少数派から生まれるのが常である。
例えば、先月日本でも売り出されて話題になったiPhoneを発売するアップルがよい例だ。
アップルは比較的新しい会社であり、10年前は苦境に喘ぐ会社でもあった。
ところが、iPodを世に出してそれまでのコンピュータ分野以外のオーディオ分野で成功して息を吹き返した。
当時デジタルポータブルステレオ分野は、アジア企業を中心に先行する企業がいくつも存在していたのだが、後発のアップルがiPodであっという間に世界市場をさらった。
この成功要因は、iPod単体にはない。iPod発売と併せてアップルはiTunesというネットでの音楽配信ソフトと組み合わせる音楽配信サービスを開始した。今までCDショップで購入していたコンテンツをネットから購入できるビジネスモデルをアップルが唯一作り出したのだ。
ハードウェアは韓国製のフラッシュメモリーを用い中国で組み立てられている。その優位性はハード単体ではなく、優れたデザインとiTunesによるビジネスモデルを創り上げたことにある。事業全体の価値を高めたのだ。
世界中でアップル以外にこうしたビジネスモデルを成功させているところはない。どういうわけか日本企業はハードウェアを作るのは得意だが、新しいビジネスモデルを創造するのは苦手だ。
97年頃、大阪の家電メーカーがアップルに携帯音楽プレーヤを使って音楽コンテンツを配信するビジネスモデル案を提案している。この提携話は頓挫したが、アップルはこのビジネスモデルで成功し、提案した日本企業はコンテンツを集めることに失敗してしまった。残念ながらこの日本企業に事業全体の価値を高める能力が不足しており新しいビジネスモデルを獲得できなかったのだが、今後はこの能力を高めることが益々重要になってくる。
他社と横並びのビジネスモデルではイノベーションを起こして新たな成長を描けないし、製品単体ではなく事業全体として新たな事業価値を生み出さないと他社を圧倒できないのである。
<図表の説明>
企業はその一生で、創業期、戦略が当たって成長する成長期、安定期、競合が現れたり戦略が世の中に合わなくなる衰退期という成長曲線を描く。多くに企業は戦略を変更せずカイゼンや効率化、販路開拓で衰退期を乗り切ろうとする(A)がこれは難しい。アップルのように戦略にイノベーションを起こし、Macbookのような魅力ある新商品で新たな成長を起こす(B)かiPodやiPhoneのような新たな成長曲線(C)を描くことが望ましい。
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アイキットソリューションズ
生島大嗣
情報家電・IT産業の潮流とゆくえ 第2回 少数派がイノベーションを作る
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前回、切り捨てられる少数派について書いた。大勢を占める消費者の流れを無視する企業は淘汰されてしまうという昨今の厳しい環境について述べたのだ。
では、消費者に迎合し流れを追うばかりでよいのだろうか。
結論から言うとノーである。
私は企業の存在価値は、「今までにない付加価値の創造と提供を可能にすること」だと思っている。成熟市場で横並びの商品分野では、もはや新しい付加価値とは価格しかないのだろうか。
いや、製品・サービスそのものでなく、前回述べた事業全体の価値を高める方法はいくらでもあるのだ。その方法を使った新しいビジネスは、現時点では潮流の主役ではない、今までの常識に捉われない伏兵とでも言うべき少数派から生まれるのが常である。
例えば、先月日本でも売り出されて話題になったiPhoneを発売するアップルがよい例だ。
アップルは比較的新しい会社であり、10年前は苦境に喘ぐ会社でもあった。
ところが、iPodを世に出してそれまでのコンピュータ分野以外のオーディオ分野で成功して息を吹き返した。
当時デジタルポータブルステレオ分野は、アジア企業を中心に先行する企業がいくつも存在していたのだが、後発のアップルがiPodであっという間に世界市場をさらった。
この成功要因は、iPod単体にはない。iPod発売と併せてアップルはiTunesというネットでの音楽配信ソフトと組み合わせる音楽配信サービスを開始した。今までCDショップで購入していたコンテンツをネットから購入できるビジネスモデルをアップルが唯一作り出したのだ。
ハードウェアは韓国製のフラッシュメモリーを用い中国で組み立てられている。その優位性はハード単体ではなく、優れたデザインとiTunesによるビジネスモデルを創り上げたことにある。事業全体の価値を高めたのだ。
世界中でアップル以外にこうしたビジネスモデルを成功させているところはない。どういうわけか日本企業はハードウェアを作るのは得意だが、新しいビジネスモデルを創造するのは苦手だ。
97年頃、大阪の家電メーカーがアップルに携帯音楽プレーヤを使って音楽コンテンツを配信するビジネスモデル案を提案している。この提携話は頓挫したが、アップルはこのビジネスモデルで成功し、提案した日本企業はコンテンツを集めることに失敗してしまった。残念ながらこの日本企業に事業全体の価値を高める能力が不足しており新しいビジネスモデルを獲得できなかったのだが、今後はこの能力を高めることが益々重要になってくる。
他社と横並びのビジネスモデルではイノベーションを起こして新たな成長を描けないし、製品単体ではなく事業全体として新たな事業価値を生み出さないと他社を圧倒できないのである。
<図表の説明>
企業はその一生で、創業期、戦略が当たって成長する成長期、安定期、競合が現れたり戦略が世の中に合わなくなる衰退期という成長曲線を描く。多くに企業は戦略を変更せずカイゼンや効率化、販路開拓で衰退期を乗り切ろうとする(A)がこれは難しい。アップルのように戦略にイノベーションを起こし、Macbookのような魅力ある新商品で新たな成長を起こす(B)かiPodやiPhoneのような新たな成長曲線(C)を描くことが望ましい。
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生島大嗣
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