日本企業が海外企業と違うところ(日経BP)
posted at 10:21:15 on 2007-11-02 kaz | Category: オンモード
日経BP 日経Tech-On! 技術経営戦略考に私の論文記事日本企業が海外企業と違うところが掲載されました。
この記事は、日経BP社の総合トップページの巻頭大見出しで紹介されました。
(見出しは既に入れ替わっています)
この記事は、当初「戦略が組織を変貌させ、人材の流動性を促す」のタイトルで日経BPに渡したのですが、このようなタイトルに変わっていました。この方がウケるのでしょうかねぇ(笑)
以下、再掲します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「確かに液晶をやっている企業の数に比べて有機ELをやっている日本企業は少ないですが、このことが有機ELの事業化がうまくいかない理由にはなりませんよ。日本以外でもやっている企業はあります。その上、使われている技術の多くが液晶技術と似ていますから。特に材料はほぼ独占状態にある液晶と違い、ELは照明用途も睨んでいるので多くの会社が研究開発していますから」
私がソニーの有機ELディスプレイに関して発した質問に、こう答えてくれたのは韓国の財閥系グループ会社で技術部長をしている、ある知り合いである。彼と話していてまた視点が広がった。彼の勤める韓国企業はヨーロッパにも研究所があり、その研究員とも日常的に交流がある。部署内でも様々な国籍の人間がいるとのことで、いつも私よりグローバルな観点で話をしてくれるのがありがたい。
私はできるだけ米国や中国、台湾、韓国等の企業や進出している日本企業で働く人たちと話をする機会を作るようにしている。彼らから有益な話を聞けたり、問題提起をされたりすることが多く、こちらの思考の幅が大きく広がるヒントをもらえることが多々あるからである。
彼らも自らの守秘義務を負った上で話すので、もちろん聞くことができる内容には限りがある。それでも、彼らの考え方や発想は画一的な日本企業のそれと違うことはよくわかる。日本企業に勤めている人に比べて一般に彼らの視点が広いこと、日本企業よりもリスク・テーキングを積極的に行う傾向があることがその理由だろう。もちろんお国柄にもよるのだが、この傾向は多くの海外企業に共通していると感じることが多い。
数年前になるが、アイデアハックシリーズの著者である小山氏とシリコンバレーの企業を数多く訪問したことがある(http://www.ryu2.net/、http://pc.nikkeibp.co.jp/pc/column/koyama/index.html)。彼とシリコンバレーの企業を回る目的のひとつはビジネスアライアンスであったが、もうひとつ目的があった。それは、彼らのビジネスモデル構築の現状を多角的に内側から見てみるということだった。
そのために二人でちょっとした仕掛けを作った。それは日本市場進出に関する英文のホームページとプレゼン資料の作成だ。これをネタに数十社に向けて「話をしたい」というメールを送り、返事が返ってきたところを片っ端から訪問した。会う理由を作ってしまえば、彼等は積極的になる。ビジネスチャンスを追い求める姿勢が強いのだ。
帰国後、その成果を紹介するために日本企業を回ったのが、その対応に日米の企業体質差が露骨に表れ興味深かった。日本企業は非常に慎重で動きが遅く、リスクを徹底的に排除しようとするのである。彼等は「自分のポストを危険にさらすような行動を避ける」ことこそが最重要テーマであるかのように振舞う。従って、チャンスメーキングにはまったく積極的ではなかった。
さらに、これはある程度予想できたことだが、シリコンバレーの企業が強調する強みを支える技術の多くは、すでに日本の大企業が内部に抱えていたこともわかった。しかし日本企業の多くは、それらを用いた積極的なビジネス展開をあまり積極的に行っていなかったのだ。同じ技術を持っていても、その戦略、ビジネスモデルの組み立て方は大きく違ったのである。
この際の比較対象は米国企業だったが、韓国企業や中国企業でもその対比の構造は変わらない。彼らの方が日本企業よりは遥かに積極的な行動を採るように思える。統計的、数値的にこれらを捉えてはいないが、この傾向はほぼ間違いないと思う。
日本企業に比べてシリコンバレーの企業の特徴はは、コアの技術やコアコンピタンスといったオリジナルな独創性を革新的なビジネスに繋ぐために必要な「アイデア創造」や「コンセプトメーキング」を重視した「戦略構築」にあると考えている。即ち、事業価値創造がうまいのである。日本企業はそれよりも技術や製品の価値創造に重きを置いている傾向がある。
この傾向の代表的な事例が、日経新聞の記事「成長を考える 幻のiPod 2007年2月28日」に載っている。アップルより先にディジタルポータブルオーディオプレーヤーを考えていた三洋電機が事業化に失敗し、アップルはiPodで世界を席巻する事業を創り上げたという事例である。
このように日本企業と海外の企業ではその行動の傾向がかなり違う。ただし重要なのは、アルフレッド・D・チャンドラーJr. が著作で言うように「組織は戦略に従う」のであって、その逆ではないということだ。現実的な戦略があり、これを実現するように組織は行動する。革新的な戦略を生み出すために組織を作るのではなく、革新的な戦略を支えるために組織を戦略的に構築することが肝要だと思うのだ。
両者は似ているようだが、この違いは大きい。組織に合わせて戦略を作り上げたり、組織を守るためだけの戦略は企業の戦略としては非現実的だからだ。この場合、戦略がうまく機能しないのは自明だが、残念なことに往々にしてこの傾向に振り回される企業が存在するし、日本企業ではこれらの傾向を強く感じることがしばしばある。
イノベーションに関しても、海外企業と日本企業では大きな違いがある。例えばシリコンバレーの企業は、一般的にオープンイノベーションを行っている。自社にない技術は社外に求めるし、自社にあってもより優秀な技術が社外にあるとさっさと乗り換える傾向が強いのだ。
社外にある技術を採用するには、様々な手段がある。契約や人材の引き抜きはもちろんのこと、企業ごとM&Aする場合も多い。ベンチャー企業も買われること(バイアウト)を初めから目的(イグジット)としているところも存在する。まるで人と技術がモジュールのように用意されて、それを組み合わせているように感じるのだ。
これに比べて日本企業は、自社内で多くの技術を育てこれを基に事業を組み立てるクローズドイノベーションの傾向が強い。そして、社内的な都合でその戦略が左右されることが多いように思う。少なくとも、これまではその傾向が強かった。
これらの違いは何処から来るのだろうか。国民性や組織の性質を原因に挙げることがよくあるが、私の考え方は少し違う。あくまでも、その企業や組織はそれらが置かれた状況にできるだけ対応しようとして戦略を出してくるものであると考えている。日本企業では、社内的な都合で左右されることが多いのは、これまでその方法で成功してきた体験が下敷きになっているからかもしれない。
もし生き残るために国際的に販路を広げる戦略を採ることしか道が残されていないと判断したなら、そしてこれらのために国際的な経験と知識を持った人材が必要と考えたなら、その企業はそのリソースの許す限りそのように動こうとするだろう。もちろんリソースや経験の不足により戦略には制限は生じる。実はここが戦略構築のひとつのネックでもある。
少し前、あるテレビ局が日本の携帯電話産業を材料にした番組を放送していたが、戦略と組織について参考になるものだった(NHKスペシャルデザインウォーズ ~変革を迫られる日本のものづくり~ )。取り上げられたのは、ソニー・エリクソンとNEC、そして韓国のLG電子である。興味深かったのはそれらの企業の戦略の違いと組織の違いだ。
ソニー・エリクソンは世界で販路を広げることに成功した日本企業の採り得る形の一つだと考えられる。国際的な戦略に基づく競争力を獲得し維持するために、組織の陣容は多国籍であり、様々な考え方や価値観を持つ人材で構成されている。
NECは日本市場でのシェアアップのために、若い社外の能力を活用しようとしていた。LG電子は日本のキャリアに対して、世界市場で通用したデザインを基に日本市場を開拓しようとしており、日本市場に精通した社員がこれを担っていた。
あくまでもその企業が置かれた立場で戦略を組立て、それを実行に移すための人材を用意しようとしていることがよく分かる面白い番組だった。
戦略は人的なリソースから生まれる。その人材というリソースを獲得するためには、そのリソースを必要とする戦略がまずある筈である。ある意味逆説的だが、戦略を企画し実現するのも人的なリソースが鍵にもなり得るのである。だからこそ、その先にある戦略を支えるための人的リソースの拡充が必要になるのである。
今は多くの業界で企業の再編が叫ばれている。企業は、置かれた状況により最善の戦略を取るように動こうとする。しかし、それらの最善の戦略が全て実行可能であるかどうかは別問題でありケースバイケースだ。
以前、海外に流出する日本人技術者についてある省の役人がこう発言したところに居合わせたことがある。「そんな者は放っておけばよい」。この言葉には少し反発も覚えたが、少々違う意味で正鵠を得ているのではとも思う。水は高いところから低いところへ流れるように、人はよりよい仕事があるところに向う。日産のゴーン氏がその著作の中で「人は本来移動する性格を持つから、国際化は止めようがない」という主旨のことを書いている。
これから再編が進むであろう電機業界でも、今よりももっと国際的な視野で考える必要が出てくるであろう。これまでのようにクローズドイノベーションを保つのか、それとも国際的な人材流動性を取り込むのかが問われることになってくるはずだ。
シャープのように徹底して技術開発をブラックボックス化するのか、それともグローバルな人材の流動性を徹底的に活かすのか。いずれにしても、中途半端では許されない状況が来るだろう。その状況が現実となった際に、新しい戦略を採ることが多くの日本企業には可能なのだろうか。組織は戦略に従うしその逆であってはならないのだが、その戦略を発案し支える人材は社内にいるだろうか。そして新に人的リソースを採用しようとした場合に優秀な人材が来てくれる魅力ある企業でいられるだろうか。
今のところ日本企業から外資系企業に流出した人材は、外資系企業の中でのみ循環している。日本企業の多くは、これら人材を再び取り込もうとはしていない。しかし、冒頭のエンジニアはこうも言った。
「数年すれば技術力や経験の優位性なんて逆転するかも知れないじゃないですか。そうなれば請われて日本企業に戻るチャンスも充分にあると思っていますよ」
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アイキット ソリューションズ
生島大嗣
この記事は、日経BP社の総合トップページの巻頭大見出しで紹介されました。
(見出しは既に入れ替わっています)
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この記事は、当初「戦略が組織を変貌させ、人材の流動性を促す」のタイトルで日経BPに渡したのですが、このようなタイトルに変わっていました。この方がウケるのでしょうかねぇ(笑)
以下、再掲します。
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「確かに液晶をやっている企業の数に比べて有機ELをやっている日本企業は少ないですが、このことが有機ELの事業化がうまくいかない理由にはなりませんよ。日本以外でもやっている企業はあります。その上、使われている技術の多くが液晶技術と似ていますから。特に材料はほぼ独占状態にある液晶と違い、ELは照明用途も睨んでいるので多くの会社が研究開発していますから」
私がソニーの有機ELディスプレイに関して発した質問に、こう答えてくれたのは韓国の財閥系グループ会社で技術部長をしている、ある知り合いである。彼と話していてまた視点が広がった。彼の勤める韓国企業はヨーロッパにも研究所があり、その研究員とも日常的に交流がある。部署内でも様々な国籍の人間がいるとのことで、いつも私よりグローバルな観点で話をしてくれるのがありがたい。
私はできるだけ米国や中国、台湾、韓国等の企業や進出している日本企業で働く人たちと話をする機会を作るようにしている。彼らから有益な話を聞けたり、問題提起をされたりすることが多く、こちらの思考の幅が大きく広がるヒントをもらえることが多々あるからである。
彼らも自らの守秘義務を負った上で話すので、もちろん聞くことができる内容には限りがある。それでも、彼らの考え方や発想は画一的な日本企業のそれと違うことはよくわかる。日本企業に勤めている人に比べて一般に彼らの視点が広いこと、日本企業よりもリスク・テーキングを積極的に行う傾向があることがその理由だろう。もちろんお国柄にもよるのだが、この傾向は多くの海外企業に共通していると感じることが多い。
数年前になるが、アイデアハックシリーズの著者である小山氏とシリコンバレーの企業を数多く訪問したことがある(http://www.ryu2.net/、http://pc.nikkeibp.co.jp/pc/column/koyama/index.html)。彼とシリコンバレーの企業を回る目的のひとつはビジネスアライアンスであったが、もうひとつ目的があった。それは、彼らのビジネスモデル構築の現状を多角的に内側から見てみるということだった。
そのために二人でちょっとした仕掛けを作った。それは日本市場進出に関する英文のホームページとプレゼン資料の作成だ。これをネタに数十社に向けて「話をしたい」というメールを送り、返事が返ってきたところを片っ端から訪問した。会う理由を作ってしまえば、彼等は積極的になる。ビジネスチャンスを追い求める姿勢が強いのだ。
帰国後、その成果を紹介するために日本企業を回ったのが、その対応に日米の企業体質差が露骨に表れ興味深かった。日本企業は非常に慎重で動きが遅く、リスクを徹底的に排除しようとするのである。彼等は「自分のポストを危険にさらすような行動を避ける」ことこそが最重要テーマであるかのように振舞う。従って、チャンスメーキングにはまったく積極的ではなかった。
さらに、これはある程度予想できたことだが、シリコンバレーの企業が強調する強みを支える技術の多くは、すでに日本の大企業が内部に抱えていたこともわかった。しかし日本企業の多くは、それらを用いた積極的なビジネス展開をあまり積極的に行っていなかったのだ。同じ技術を持っていても、その戦略、ビジネスモデルの組み立て方は大きく違ったのである。
この際の比較対象は米国企業だったが、韓国企業や中国企業でもその対比の構造は変わらない。彼らの方が日本企業よりは遥かに積極的な行動を採るように思える。統計的、数値的にこれらを捉えてはいないが、この傾向はほぼ間違いないと思う。
日本企業に比べてシリコンバレーの企業の特徴はは、コアの技術やコアコンピタンスといったオリジナルな独創性を革新的なビジネスに繋ぐために必要な「アイデア創造」や「コンセプトメーキング」を重視した「戦略構築」にあると考えている。即ち、事業価値創造がうまいのである。日本企業はそれよりも技術や製品の価値創造に重きを置いている傾向がある。
この傾向の代表的な事例が、日経新聞の記事「成長を考える 幻のiPod 2007年2月28日」に載っている。アップルより先にディジタルポータブルオーディオプレーヤーを考えていた三洋電機が事業化に失敗し、アップルはiPodで世界を席巻する事業を創り上げたという事例である。
このように日本企業と海外の企業ではその行動の傾向がかなり違う。ただし重要なのは、アルフレッド・D・チャンドラーJr. が著作で言うように「組織は戦略に従う」のであって、その逆ではないということだ。現実的な戦略があり、これを実現するように組織は行動する。革新的な戦略を生み出すために組織を作るのではなく、革新的な戦略を支えるために組織を戦略的に構築することが肝要だと思うのだ。
両者は似ているようだが、この違いは大きい。組織に合わせて戦略を作り上げたり、組織を守るためだけの戦略は企業の戦略としては非現実的だからだ。この場合、戦略がうまく機能しないのは自明だが、残念なことに往々にしてこの傾向に振り回される企業が存在するし、日本企業ではこれらの傾向を強く感じることがしばしばある。
イノベーションに関しても、海外企業と日本企業では大きな違いがある。例えばシリコンバレーの企業は、一般的にオープンイノベーションを行っている。自社にない技術は社外に求めるし、自社にあってもより優秀な技術が社外にあるとさっさと乗り換える傾向が強いのだ。
社外にある技術を採用するには、様々な手段がある。契約や人材の引き抜きはもちろんのこと、企業ごとM&Aする場合も多い。ベンチャー企業も買われること(バイアウト)を初めから目的(イグジット)としているところも存在する。まるで人と技術がモジュールのように用意されて、それを組み合わせているように感じるのだ。
これに比べて日本企業は、自社内で多くの技術を育てこれを基に事業を組み立てるクローズドイノベーションの傾向が強い。そして、社内的な都合でその戦略が左右されることが多いように思う。少なくとも、これまではその傾向が強かった。
これらの違いは何処から来るのだろうか。国民性や組織の性質を原因に挙げることがよくあるが、私の考え方は少し違う。あくまでも、その企業や組織はそれらが置かれた状況にできるだけ対応しようとして戦略を出してくるものであると考えている。日本企業では、社内的な都合で左右されることが多いのは、これまでその方法で成功してきた体験が下敷きになっているからかもしれない。
もし生き残るために国際的に販路を広げる戦略を採ることしか道が残されていないと判断したなら、そしてこれらのために国際的な経験と知識を持った人材が必要と考えたなら、その企業はそのリソースの許す限りそのように動こうとするだろう。もちろんリソースや経験の不足により戦略には制限は生じる。実はここが戦略構築のひとつのネックでもある。
少し前、あるテレビ局が日本の携帯電話産業を材料にした番組を放送していたが、戦略と組織について参考になるものだった(NHKスペシャルデザインウォーズ ~変革を迫られる日本のものづくり~ )。取り上げられたのは、ソニー・エリクソンとNEC、そして韓国のLG電子である。興味深かったのはそれらの企業の戦略の違いと組織の違いだ。
ソニー・エリクソンは世界で販路を広げることに成功した日本企業の採り得る形の一つだと考えられる。国際的な戦略に基づく競争力を獲得し維持するために、組織の陣容は多国籍であり、様々な考え方や価値観を持つ人材で構成されている。
NECは日本市場でのシェアアップのために、若い社外の能力を活用しようとしていた。LG電子は日本のキャリアに対して、世界市場で通用したデザインを基に日本市場を開拓しようとしており、日本市場に精通した社員がこれを担っていた。
あくまでもその企業が置かれた立場で戦略を組立て、それを実行に移すための人材を用意しようとしていることがよく分かる面白い番組だった。
戦略は人的なリソースから生まれる。その人材というリソースを獲得するためには、そのリソースを必要とする戦略がまずある筈である。ある意味逆説的だが、戦略を企画し実現するのも人的なリソースが鍵にもなり得るのである。だからこそ、その先にある戦略を支えるための人的リソースの拡充が必要になるのである。
今は多くの業界で企業の再編が叫ばれている。企業は、置かれた状況により最善の戦略を取るように動こうとする。しかし、それらの最善の戦略が全て実行可能であるかどうかは別問題でありケースバイケースだ。
以前、海外に流出する日本人技術者についてある省の役人がこう発言したところに居合わせたことがある。「そんな者は放っておけばよい」。この言葉には少し反発も覚えたが、少々違う意味で正鵠を得ているのではとも思う。水は高いところから低いところへ流れるように、人はよりよい仕事があるところに向う。日産のゴーン氏がその著作の中で「人は本来移動する性格を持つから、国際化は止めようがない」という主旨のことを書いている。
これから再編が進むであろう電機業界でも、今よりももっと国際的な視野で考える必要が出てくるであろう。これまでのようにクローズドイノベーションを保つのか、それとも国際的な人材流動性を取り込むのかが問われることになってくるはずだ。
シャープのように徹底して技術開発をブラックボックス化するのか、それともグローバルな人材の流動性を徹底的に活かすのか。いずれにしても、中途半端では許されない状況が来るだろう。その状況が現実となった際に、新しい戦略を採ることが多くの日本企業には可能なのだろうか。組織は戦略に従うしその逆であってはならないのだが、その戦略を発案し支える人材は社内にいるだろうか。そして新に人的リソースを採用しようとした場合に優秀な人材が来てくれる魅力ある企業でいられるだろうか。
今のところ日本企業から外資系企業に流出した人材は、外資系企業の中でのみ循環している。日本企業の多くは、これら人材を再び取り込もうとはしていない。しかし、冒頭のエンジニアはこうも言った。
「数年すれば技術力や経験の優位性なんて逆転するかも知れないじゃないですか。そうなれば請われて日本企業に戻るチャンスも充分にあると思っていますよ」
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生島大嗣
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曖昧みぃ wrote:
確かに、、、
りべるた wrote:
日本企業がこのところ世界におされ気味の感は否めない。イノベーションをどうマネージメントするか。私自身も仕事のテーマとしていきたいと思っている内容なので大変興味深く拝見させていただきました。
企業としては技術を組織の遺伝子として残し、差別化を図りたいと考えがちですが、ブレークスルーを生み出すにはグローバルな人材の流動性を活かすこともしかりだと思います。有機ELも実用化に踏み出すためにはもういくつかのブレークスルーが必要です。世に出たときどこが主導権を握るかというこということはあれど、ブレークスルーによって課題を克服するためには知の結集も必要でしょう。一企業の利益か、技術革新か、という天秤にかけられているように思います。
グローバルな知の結集といえば、LINUXのようなオープンソースがWindowsに勝るとも劣らない性能を持ちユーザーからの指示を獲得している点も注目ですね。最近ではウィキペディアなどもありますしね。イノベーションをどうマネージメントするか、しばらく世の中の動きに注目したいですね。
生島大嗣 wrote:
曖昧みぃ さん
そうでしょ・・・笑
生島大嗣 wrote:
りべるたさん
コメントありがとうございます。
> 企業としては技術を組織の遺伝子として残し、差別化を図りたいと考えがちですが、
> ブレークスルーを生み出すにはグローバルな人材の流動性を活かすこともしかりだ
> と思います。
事業価値創造に寄与するのは、必ずしも技術だけではないということですね。
技術はマーケティングを常に新鮮な状態に保つひとつの手段ですから、それ以外にもいろいろと要因はあると思います。
グローバルな人材の流動性もしかりですが、これがあると事業価値創造ができるとは限りません。つまり、戦略があり、それを機能させる一つの要因として考えることが必要だと思います。
企業のビジネスモデルを支える戦略を更に下から支えるのは、技術力、特許、各種ノウハウ、、ヒューマンリソース、ブランド、ソフト的な伝統や文化への造詣、理念等があります。これら全てを遺伝子という言葉で括るのも少し難しいですが、この部分にグローバルな人材の流動性も関係してくると考えています。
イノベーションは必ずしも技術ではなく、ビジネスプロセス全般で起こり得る革新です。、イノベーションがどこで起こってもそれは発散思考が関与しています。逆にマネジメントは収束思考でないと難しい。
このトレードオフの関係を矛盾なくハンドリングする必要があると思います。