巧みに叱るポジショニング取り
posted at 12:06:28 on 2007-08-25 kaz | Category: オンモード
人間関係を見ていると、如何に相手より優位な位置を占めるかであっという間に力関係が決まってしまうことがあります。
面白いことに、「叱る」という戦術でこのポジションを取ることを常套手段としている者も多いのです。
心理カウンセラーという職業がありますが、彼等が仕事を行う上でやってはいけないことがいくつかあります。
相手を叱るのもそのひとつ。
カウンセラーの場合は、相手から客観的にいろいろなことを引き出さないといけない。
そして、先入観なしにそれらを客観的に吟味して結論を導き出さないといけない。
相手に対して優位に立ってしまい、相手がカウンセラーを頼ったり、カウンセラーに気に入られようと事実を曲げてしまうのを避けることが必要になります。
そうでないと、往々にしてカウンセリングを受ける者は知らず知らずカウンセラーに従属してしまう。従属的位置を占めることで安心、心の安らぎを得たり、安易な結論に逃げ込もうとしてしまうのです。
基本的に心理カウンセラーはこうした事態を避ける訓練をしているし、倫理的にもこういった相手を誘導することはしないようにしています。ですから、カウンセラーが相手を叱ることは通常あり得ません。
しかし、一般的な交渉事になると事情は一変します。
人間関係においては、相手より優位な位置を占めることが利益に直結する場合が多いことがその理由です。
相手より優位な位置を占めるための一番簡単な方法は、喋らないこと。
意外に思われるかも知れませんが、実はよく知られた交渉術のメソッドです。
こちらが沈黙を続けると、相手は不安になり喋り過ぎるのです。
もっと積極的な方法のひとつが相手を叱る方法。
私は大嫌いな方法ですけど・・・(笑)
マッキンゼー方式だと聞いたことがあります。(そうなのでしょうか?)
もちろん、いろいろな人間関係が存在するので、全ての場合に当てはまるものではないし、かえって逆効果を招く場合もあります。しかし、うまく使えば非常に効果がある方法なのです。
昔、よく見かけたのが叱る医者。
叱ることで患者より優位に立ってしまうし、信頼と威厳を得てしまう。
そして最近ときどき見かけるのが、相手を叱り飛ばす士業の先生やコンサルタント。もちろん、会社の上司にもときどきいます。
それも非常に能力があり成功している人がそうする場合が多いですね。
何故、相手を叱ることが有効に働く場合があるのでしょうか。
その前にちょっと「脳」の勉強です。(難しければ読み飛ばしてください)
-------------------------------------------------------------
人間の脳は、その進化の過程で生命維持に必要な脳幹という部分が最初にでき、小脳、大脳が発達しました。
最後に、大脳新皮質がそれを覆うように大きく発達しています。
大脳は、本能的な情動をコントロールする大脳辺縁系と感覚・知能の中枢で人間らしい行動をコントロールする大脳新皮質からなります。
大脳辺縁系は、旧哺乳類の脳と呼ばれて好き嫌いを判断して好きな場合には意欲を高め、嫌いな場合はそれを避けるために意欲を減退させます。
大脳新皮質の前頭連合野では、過去の記憶から判断して状況に適した行動を行う働きをします。喜怒哀楽の感情統合もここが担っています。
実は、この感情が非常にやっかいなのです。
人間は論理的に判断しているつもりでも、感情が決断に大きく関与しているのです。
すべての決断は感情的に行われるということが分かってきています。
人が行う決断において論理的な理由付けは全て後付けであるのです。この後付けの決定理由で自分は論理的に判断し決断したと思い込み安心するのです。
-------------------------------------------------------------
さて、本題です。
叱り飛ばされると反発する人もいますが、過去の記憶からこういう結論を導き出す人もいるでしょう。自分のためを思ってくれる人が自分を叱ってくれる。その人の言うことは正しくてそれに従うことで全てが解決する。
この結論は、自分自身の成功体験からきているのです。
叱られて、それに従って行動したらうまくいったという記憶があるのです。
叱る人の言うことを聞いた方がよい。
もっと大きな視野で自分の分からないことも知っている。
そうした人の言うことは正しいのだから・・・
もし成功体験がなかったら反発するかもしれませんね。
例えば、嫌いな人から小言を言われ続けたがそれに反抗して行動し成功したという場合はそうです。
叱られて成功してきた人にとって、自分を叱る相手というのは常に正しくて自分を導いてくれると思っています。そういう人間に対して叱るというアプローチは非常に有効なのです。叱られることで、最終的に大脳辺縁系がこれを好きなこととしてシグナルを発する仕組みが脳に出来上がってしまっているのです。
過去の体験、記憶から判断して前頭連合野で叱られることを受け入れる判断がなされ、その決定に従って大脳辺縁系が叱られることに耐える意欲を高めるシグナルを出しているのかも知れません。
ところが残念ながら、叱っている内容が間違っていたり、叱ることが目的化していたりすることがあります。
また、相手から経済的利益を継続的に得るために相手より優位なポジションをキープする場合に叱ることもあります。この場合は叱る内容はあまり意味を持ちません。
例えばビジネスの場合、本当は次にどのような戦略を打たないといけないとか、過去の反応を分析してどのように修正をかけるかといった内容が含まれておらず、ただ単に報告が遅いとか礼を失しているとかの内容で叱っている場合がそうです。
つまり、相手を論理的に導く能力がない場合の隠れ蓑に叱っている場合があるのです。
もっと悪質な場合は、相手を盲目的に従わせる有効な手段として叱っているのです。
叱っている本人には、こういう自覚がない場合もあるでしょう。
それでは、叱る相手から、そして叱られることに慣れた自分から逃れるにはどうすればよいのでしょうか?
続きは次回に。
アイキットソリューションズ
生島大嗣
面白いことに、「叱る」という戦術でこのポジションを取ることを常套手段としている者も多いのです。
心理カウンセラーという職業がありますが、彼等が仕事を行う上でやってはいけないことがいくつかあります。
相手を叱るのもそのひとつ。
カウンセラーの場合は、相手から客観的にいろいろなことを引き出さないといけない。
そして、先入観なしにそれらを客観的に吟味して結論を導き出さないといけない。
相手に対して優位に立ってしまい、相手がカウンセラーを頼ったり、カウンセラーに気に入られようと事実を曲げてしまうのを避けることが必要になります。
そうでないと、往々にしてカウンセリングを受ける者は知らず知らずカウンセラーに従属してしまう。従属的位置を占めることで安心、心の安らぎを得たり、安易な結論に逃げ込もうとしてしまうのです。
基本的に心理カウンセラーはこうした事態を避ける訓練をしているし、倫理的にもこういった相手を誘導することはしないようにしています。ですから、カウンセラーが相手を叱ることは通常あり得ません。
しかし、一般的な交渉事になると事情は一変します。
人間関係においては、相手より優位な位置を占めることが利益に直結する場合が多いことがその理由です。
相手より優位な位置を占めるための一番簡単な方法は、喋らないこと。
意外に思われるかも知れませんが、実はよく知られた交渉術のメソッドです。
こちらが沈黙を続けると、相手は不安になり喋り過ぎるのです。
もっと積極的な方法のひとつが相手を叱る方法。
私は大嫌いな方法ですけど・・・(笑)
マッキンゼー方式だと聞いたことがあります。(そうなのでしょうか?)
もちろん、いろいろな人間関係が存在するので、全ての場合に当てはまるものではないし、かえって逆効果を招く場合もあります。しかし、うまく使えば非常に効果がある方法なのです。
昔、よく見かけたのが叱る医者。
叱ることで患者より優位に立ってしまうし、信頼と威厳を得てしまう。
そして最近ときどき見かけるのが、相手を叱り飛ばす士業の先生やコンサルタント。もちろん、会社の上司にもときどきいます。
それも非常に能力があり成功している人がそうする場合が多いですね。
何故、相手を叱ることが有効に働く場合があるのでしょうか。
その前にちょっと「脳」の勉強です。(難しければ読み飛ばしてください)
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人間の脳は、その進化の過程で生命維持に必要な脳幹という部分が最初にでき、小脳、大脳が発達しました。
最後に、大脳新皮質がそれを覆うように大きく発達しています。
大脳は、本能的な情動をコントロールする大脳辺縁系と感覚・知能の中枢で人間らしい行動をコントロールする大脳新皮質からなります。
大脳辺縁系は、旧哺乳類の脳と呼ばれて好き嫌いを判断して好きな場合には意欲を高め、嫌いな場合はそれを避けるために意欲を減退させます。
大脳新皮質の前頭連合野では、過去の記憶から判断して状況に適した行動を行う働きをします。喜怒哀楽の感情統合もここが担っています。
実は、この感情が非常にやっかいなのです。
人間は論理的に判断しているつもりでも、感情が決断に大きく関与しているのです。
すべての決断は感情的に行われるということが分かってきています。
人が行う決断において論理的な理由付けは全て後付けであるのです。この後付けの決定理由で自分は論理的に判断し決断したと思い込み安心するのです。
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さて、本題です。
叱り飛ばされると反発する人もいますが、過去の記憶からこういう結論を導き出す人もいるでしょう。自分のためを思ってくれる人が自分を叱ってくれる。その人の言うことは正しくてそれに従うことで全てが解決する。
この結論は、自分自身の成功体験からきているのです。
叱られて、それに従って行動したらうまくいったという記憶があるのです。
叱る人の言うことを聞いた方がよい。
もっと大きな視野で自分の分からないことも知っている。
そうした人の言うことは正しいのだから・・・
もし成功体験がなかったら反発するかもしれませんね。
例えば、嫌いな人から小言を言われ続けたがそれに反抗して行動し成功したという場合はそうです。
叱られて成功してきた人にとって、自分を叱る相手というのは常に正しくて自分を導いてくれると思っています。そういう人間に対して叱るというアプローチは非常に有効なのです。叱られることで、最終的に大脳辺縁系がこれを好きなこととしてシグナルを発する仕組みが脳に出来上がってしまっているのです。
過去の体験、記憶から判断して前頭連合野で叱られることを受け入れる判断がなされ、その決定に従って大脳辺縁系が叱られることに耐える意欲を高めるシグナルを出しているのかも知れません。
ところが残念ながら、叱っている内容が間違っていたり、叱ることが目的化していたりすることがあります。
また、相手から経済的利益を継続的に得るために相手より優位なポジションをキープする場合に叱ることもあります。この場合は叱る内容はあまり意味を持ちません。
例えばビジネスの場合、本当は次にどのような戦略を打たないといけないとか、過去の反応を分析してどのように修正をかけるかといった内容が含まれておらず、ただ単に報告が遅いとか礼を失しているとかの内容で叱っている場合がそうです。
つまり、相手を論理的に導く能力がない場合の隠れ蓑に叱っている場合があるのです。
もっと悪質な場合は、相手を盲目的に従わせる有効な手段として叱っているのです。
叱っている本人には、こういう自覚がない場合もあるでしょう。
それでは、叱る相手から、そして叱られることに慣れた自分から逃れるにはどうすればよいのでしょうか?
続きは次回に。
アイキットソリューションズ
生島大嗣
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