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コアミッションとやりたいこと

posted at 23:57:53 on 2007-05-27 kaz | Category: オンモード

人がものごとを行う場合の動機は次の3つのレベルがあると思っています。
1.できることを行う
2.やらなければならないことを行う
3.やりたいこと行う

そして、3番目の「作りたいものを作る」「やりたいことをする」という切り口でしか他を凌駕するコンセプトを作ることは難しいと私は考えているのです。これに関した議論は、「なぜ日本ビクターは売られるのか」にも書いていますのでご参考に。

先日、これが如実に現れた場面を目にすることがありました。


それも、ちょっと悪い現れ方です。

あるファンドに呼ばれてブレーンストーミングのような場にでかけました。
ファンドと言っても、決してハゲタカファンドではありません。
もの作りをなんとか応援していきたいという志が根底にある主宰者が、もの作りに携わり、その道で実績を上げてきた現役やOBを集めて新しいビジネスのためのアイデアを練るといった主旨の集まりだったのです。

その志は素晴らしいのですが、議論はちょっと低レベル。
場の思考は発散しているのですが、思いつきのアイデアが飛び交うだけで現実的ではないのです。その理由が、上に述べた3つのレベルが関係しています。

思いつきのアイデアが、1のできることに集中していました。

そして、もうひとつ原因がありました。
誰のコアミッションにも関係しないアイデアを議論しているのです。
また、もの作り中心に人選されていたため、マーケティングの視点が欠けていました。

そもそも私は、新事業にはこのコアミッションが非常に大事だと思っています。
コアミッションが中軸としてあるということは、技術や経験、そのビジネスに深く根差したビジョンがそこにあることを意味します。

そこから派生する新しいアイデアをどう育てていくか。どのような新事業に発展させていくかを考えるのは私のコアミッションだと思っています。

ところが、当日は誰のコアミッションでもない分野に関して思いつきで議論が進んでいきます。

確かに、どのようなビジネスアイデアも思いつきから生まれます。
いくつもの思いつきのアイデアをこれでもかと出していき、議論し、捨て去り、昇華していく過程で新事業の形が生まれてきます。

そのアイデアが形になるには、その分野に精通したものが、過去の経験や様々な情報、知見という有形無形の知恵を踏み台にして考え抜き、徹底的に議論して初めて可能なのです。
その根底にコアミッションがあって初めて、3の「やりたいことを行う」ということに繋がるのです。

ところが、コアミッションをもたない人たちが集まり、新しい事業を考えようとアイデアを出そうとしても議論は空回りになります。
まぁ当人達はそうは思っていないようで議論は白熱しますが、私が聞いている限り空回りの議論が延々続いていっているとしか思えなかったのです。

私がこの手のブレーンストーミングに参加するスタンスは2つです。
アイデアを生み出す場合は、徹底的に気付きを促すスタンスを取ります。
または、ビジネスモデルやマーケティング戦略を評価するときに行うダメ出しを行うスタンス。

当日は、どうしてもダメ出しスタンスになってしまいました。
コアミッションがないフィールドで新しいビジネスアイデアを思いつきでディスカッションしているのですから、ダメ出ししていかないと不毛な議論が積み重なります。

例えば、あるメディアカルシステムを売るアイデアが議論されていました。

しかし、誰もその分野を深く知らない。情報は限られています。
その分野に少々携わったことがある私には、明らかに間違いと分かる方向どんどん進んで行こうとしている。そのメディカルシステムはいろんな企業、ベンチャーが既に手掛けています。それを指摘すると、更に別分野のシステムと連携させれば他にない製品ができると言い出します。

しかし、別分野のシステムと分かれているのにはそれ相応の理由があるのです。
その業界の特殊事情や利権、法律、その他様々な条件が複雑に絡み合っています。

確かに、それを確認するために実際に調査を行うというのですが、その前に私にはそれは間違いと分かっているのです。

何故このような議論が行われるのでしょうか。
それは、誰も経験のない分野に関する思いつきの域を出ないアイデアを基にビジネスを起こそうとしているからで、これは当然の結果なのです。

コアミッションからかけ離れた分野で、思いつきのアイデアだけを拠り所にビジネスを立ち上げようとする実際のビジネスでは避けなければならないけれど、よく陥ってしまうシーンに遭遇してしまった一日でした。

アイデア発想には、きちんとしたスキルや条件が必要になるのですが、一見簡単そうに見えるのでややもするとこういう事態に陥ってしまい身動きが取れなくなってしまいます。

コアミッションを熟知し、やりたいことを行うというところからしか実際的で革新的なビジネスアイデアは生まれないのです。

アイキットソリューションズ
生島大嗣

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