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「フェラーリと鉄瓶」に思う

posted at 00:34:11 on 2007-05-21 kaz | Category: オンモード

カーデザイナーの奥山清行氏の講演を聞く機会がありました。
彼は、昨年NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」に登場したのでカーデザイナーとしては結構有名です。
この日の講演は「フェラーリと鉄瓶/日本とイタリアのものづくり」というもの
フェラーリと鉄瓶―一本の線から生まれる「価値あるものづくり」)
    フェラーリと鉄瓶―一本の線から生まれる「価値あるものづくり」
    奥山 清行 (著)
    PHP研究所


世界にカーデザイナーは2500人ほどいるとのことですが、トップ100人はお互い誰がどこで仕事をしているか自然と把握しているというある意味閉鎖した倶楽部のような世界だそうです。

私がこの人に着目しているのは、これからの日本のもの作りに、彼の行動があるヒントになるんじゃないかと思うからです。

彼は、日本の製品には作り手の顔が見えないと言います。
それは私も同感。
大量生産のもの作りを得意としてきた日本では、設計者の顔はなかなか見えない。

私は、それ以前に、日本は職人の名前が出ない社会だと思っています。
まぁ、左甚五郎のような超有名な人はいるけれど、一般には職人は無名です。

それはさておき、彼にとってはイタリアのもの作り、それもフェラーリなんかは作り手の側がはっきり見えるというのです。

日本は、製品を見ても日本という文化や歴史が見えないので、コモディティー化した製品は中国等にコストで勝負したら負けてしまうと主張しています。

これは私の主張と同じ。
だから、私は製品やサービスには、戦略以前に研ぎ澄まされたアイデアと製品コンセプトが必要だと考えています。

奥山氏はフェラーリという高級車に携わっていたので、特にそういうことに敏感なんでしょう。

彼は、もう自分はある程度の知名度を得、地位につけたので、これからはそれをうまく利用して金儲けではなくコンセプターとして、つまりもの作りのプロデューサーとして活動したいと言っています。それも、独特の手法を持つ伝統工芸の世界の中小企業を応援するというもの。

今まで顔が見えず、大企業の下請けばかりしていた中小企業が、自己完結型のビジネスに、つまり下請けでなく自分で顧客を開拓して生計を立てないといけないと主張します。

彼は、伝統工芸に目を付け、山形の鉄瓶をプロデュースし、それを世界に売り出そうとしています。鉄瓶といっても直接火にかけるものではなく、ティーポットとしての新しい使い方を提案している。

柄のところの造詣に日本刀の形を用いたり、口からお茶が垂れない日本の鉄瓶独特の表面処理等にこだわり、内部はホーロー引きにしてポットとしての鉄瓶を作り、フランスの展示会に出品しているといいます。

ミラの郊外のコルソコモという元ヴォーグ社の女編集長がプロデュースしたギャラリーやレストランがあるのですが、私の知り合いがここのレストランで鉄瓶で日本茶が出てきて「鉄瓶でお茶を出すなんておかしい。日本のことをまったくわかっていない」と嘆いていました。ひょっとしたら、これもミラノ在住の奥山氏がしかけたものかも知れません。

さて、彼はヨーロッパでブランドを確立して、ここから黒船効果で日本にこれを持ってくるという戦略と取っています。

そのために、自分の使えるあらゆるルート、同級生の知事に会って酒を飲みながら補助金を取ってきたり、経産省に提案をしたり。
正に、プロデューサ的に動いています。

かれの主張の面白いのは、「クリエイティブクラス」という考え方。

西洋ではブルーカラーとホワイトカラーに分かれており、自分で考えないブルーカラーをホワイトカラーがマネジメントするという文化は、MBAなどに結びつきますが、日本はブルーカラーが自ら考え提案する社会だと言っています。

これを推し進めて、クリエイティブクラスという自分で考える職人が、自ら新しいビジネスを提案していく層を作らないといけないというもの。


彼の主張は、確かに伝統工芸の世界ではそのまま通用します。
でも、家電や自動車のような日本を支えてきた大量生産の世界ではどうなのでしょう。

bang&Olffesenのようなデザインに凝った高級家電メーカーはヨーロッパには存在するけど、日本の大企業が彼の言うビジネスモデルで生き残っていくとは思えないんです。

ここを考えるのは私の仕事。
私の頭の中ではある程度、答は出ていますけど。

これからは、他と違った尖がった製品をどうやって生み出すかが勝負の分かれ目。
それを今はうまく機能しなくなった日本型のモデル、即ちミドル層からの提案をトップがダメ出ししながら承認、支持するという形を今の時代に合った形に再生しないといけないと思っています。

そのための手法も頭の中にありますが、そのうちに本を書くので買ってください。
出版社の方、見ていたら早い者勝ちですよ(笑)

アイキットソリューションズ
生島大嗣

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Comments

ぱぱきちすぺしゃる! wrote:

山形工房の話。昨年、いろいろと研究しました。
ビジネス的には、まだまだのようですね。

でも、こういう動きは、大好きです。
心おどります。

本が出たら、一番に買いますので!!!

2007-05-21 02:52:38

生島大嗣 wrote:

ぱぱきちすぺしゃる! さん

ビジネス的には1年半で1億2000万位の売り上げだそうです。
これから、次のステップに踏み込むべく準備中と聞きました。

問題も多いようですが、彼ならやり遂げるような気がします。
確かに心躍りますね。

本のお買い上げ予約ありがとうございます。
読者、おひとり確保です(笑)

2007-05-21 03:32:19

きよ店長 wrote:

またまた面白い議題ですね!!
僕も、職人さんと言われる人に会うたびに

どうして、自分の名前とか、作り手として

前面に出ないんだろうと、不思議に思うことが

あります。

そのこだわりを「あて」にして、

その製品を楽しみたいのに、、、、。

多分そんな職人を、

嫌がらないように表に出す

プロデューサーがいないんでしょうか?

このネット社会、

大量生産同一規格より

変わった、とんがったものの方が

売りやすいし、それには資本も

いらないんとおもうんですが、、、、。
僕にはずーたいのでかい

大企業の方を永続的に存続させるのって

奇跡に感じますが、、、。

2007-05-22 00:26:35

きよ店長 wrote:

あ、それと最近、英語勉強中に

チラッと聞いた、

クレイグズリストって、聞いたことあります?

なんか、よく分かってないんですが、

臭いがするのですが、、、、、。

生島さんはいかがですか?

2007-05-22 00:43:47

生島大嗣 wrote:

きよ店長さん

> 大企業の方を永続的に存続させるのって
> 奇跡に感じますが、、、。

昔は、松下幸之助さんの「水道の蛇口理論」にあるように、物が不足している場合は市場に物を供給すると売れる状況がありました。

大企業のビジネスが成立する条件のひとつがこの状況です。
横並びで同じような商品を開発できればOK.

市場に物が不足している場合はこれでよかったのですが、今の日本は物余りでこの条件が崩れている上に、ディジタル製品はアナログのように開発・設計・製造上のノウハウを秘匿できないし誰でも部品を買ってくればできてしまう水芸分業になっています。

つまり、製造コストの安い国が有利で、この圧力で数年前までは日本は結構新興国にやられてましたね。

これをなんとかする手段が、デザインやブランド、他の追随を許さない高い技術力に支えられた高機能 等々いろいろあるのですが、コモディティー製品を作っている企業の場合難しいものがありますね。

コモディティー製品は、超大企業の独り勝ちか寡占の状況を作り出して初めて成立するビジネスになってしまいました。

シャープや松下、ソニー・サムスンが薄型TVパネルに数年で5000億なんて投資して、製造コストを下げているのはそういうことなんです。

逆に、中小や零細企業にとっては面白い状況が生まれてきていると思いますよ。
顔の見えるこだわり商品をニッチで熱烈なファンを獲得して買ってもらうという状況を作り出せれば生きていけるんですから。

釈迦に説法でしたか(笑)

追伸部分のクレイグリストですが、上で述べたニッチで熱烈なファンを獲得するひとつの手段である口コミで成功しているところですね。

いろんなところがこれからこういうのを目指していくとおもいますが、あるジャンルで、偶然、タイミング、必然・・・なんらかの要因で数ある中からひとつだけ抜きん出て他を圧倒するところが出てくるのだと思います。
ネットではこれが最大まで加速されます。
あるジャンルで一旦勝負が付いたらもうなかなか他が抜きん出るのは難しい。
でも、それを圧倒するところが出ると、一瞬で入れ替わる可能性もあります。

そういう意味で、クレイグリストはネットの中の大企業、寡占・独占企業だと思いますよ。

2007-05-22 01:03:42

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