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メー ルマガジン コラム バックナンバー |
| アイキット代表 生島 大嗣 がコラムを執筆しているメールマガジンのバックナンバーです。 |
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1. 「技術の経営 − 顧客志向だけでは勝てない」 |
| ◆ 技術戦略思考の実現 ◆ |
| 2004年11 月10 日 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 技術の経営−顧客志向だけでは勝てない− 1888 部発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ ■ ◆ 技術戦略思考の実現 第15回 ◆ ■■ ■■ 「脱下請け時代の製品開発力」 ■■■ ■■■ アイキット <技術戦略マーケティング> 代表 生島 大嗣 ■■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 昨今の製造業が置かれた現状を見ると、下請けと呼ばれる企業の生き残りが今程難し い時代はないように感じます。 大企業は今までの系列を見直し、仕事を中国等へ発注したり、自ら進出したりするよ うになってきました。 確かに一部の企業では戦略として生産の日本回帰が行われ始めていますが、まだまだ 全体を見れば製造業の生産拠点の海外シフト圧力は圧倒的です。 今回は、このような状況の中で、今まで下請けをメインに行ってきた企業が生き残り をかけて行った改革のお話です。 ▼ 海外シフトの残したもの 大企業やその一部の系列企業が生産や開発の拠点を海外に移したことで、いろいろな ことが起こっています。極端な場合、100%下請けで受注していた比較的小さい企 業の倒産という形で現れてきています。 倒産までいかない場合でも、大企業からの受注が減少したり、コスト削減圧力が非常 に高くなってきたりしており、下請けだけに頼れなくなり方向転換を模索する企業が 増えています。 大企業としても、人員や生産拠点の見直しや縮小、他社への売却が日常的になり、リ ストラそのものは一段落したとはいえ新規の事業やそれに伴う部門を起こすなど、積 極的な拡大路線を取るところはほとんど見かけなくなりました。 これらの事情を背景に、海外に転職する日本人技術者も増加の一途を辿っています。 読者にも韓国や中国に在住しておられる方がおられるようです。 ▼ これをチャンスと捉えよう 大企業とのお付き合いで感じるのは、やはりコスト削減に関連するものが多いことで す。こういう状況下では、新たな攻めの提案をしても、なかなか採用して頂くのは難 しい現実があります。 ところが一方では、周囲に押されて縮小をするのではなく、周りが萎縮している現状 を逆に好機と捉えている比較的若い企業も実は少なくありません。 しかしながら、従来の考え方で長年やってきた下請け専門の企業にとっては、なかな か考え方を転換するのは難しいのです。 まず、風土や人の考え方が邪魔をします。 今までは放っておいても仕事が降ってきました。 確かに、コストや仕様、開発期間には厳しい制限があったでしょうが、頑張ればなん とかなったのです。 このタイプの会社は、技術力に自信があるところが少なくありません。 しかし、ことオリジナル商品を企画し、開発し生産し、それを販売チャンネルに流す となると、話はまったく変わってきます。 親会社に言われるままに動いていて、自分で考えることを必要とされなかった会社に とって、急に頭を使って自分で考えろと言われても対応できないのが現実です。 会社全体が、そして組織、最終的に個人が、自立して自律的にものを考えて、周りを 説得し、自分から動かないといけません。 これには、会社や組織の風土や制度、そして根本的には個人の考え方の変革が必要に なります。しかし、そうは言っても風土や考え方は、簡単には変わりません。 第7回 「よいものは放っておいても売れるのか?」 で取り上げたF社の事例を見て も、実際にはトップから現場までどう動いてよいか分からないというのが現実です。 http://www.i-kit.jp/biz/gikei/gikei07.html 最近、私のところにもこのような依頼が多数来ています。 この場合、抽象的に風土改革や考え方の改革を言っても物事はまったく動きません。 物事を動かすには、具体的なプロジェクトを作り、実際の仕事の流れの中で改革して いく方法を採らなくてはなりません。そして、この実際の仕事を通じて、意識改革や 風土の改革に繋いでいくことが大事なのです。 苦境になるまでは、なかなか改革の機会がなかったのではないでしょうか。 これをチャンスと捉えて行動した企業には、生き残り、成長に向けて展望が開かれる ことは間違いありません。 ▼ 解決しない課題リスト 第7回 で取り上げたF社に関しては、読者の方からの質問に答える形で取り上げたた めに、具体的な内容が分からず概念的な記述になっていました。 今回は、私が経験した事例を基に、より具体的に考えていきたいと思います。 電機メーカーの下請けを長年行ってきたO社では、トップと現場が共に問題意識を持 つところまではできていました。この点、F社の場合よりはスタート地点では有利で あったかも知れません。 そうは言っても、このときのO社の状況は、問題意識はあってもどう動いてよいか分 からない状況だったのです。 例えば、社長はアイデアマンで社員に対して次々とアイデアを投げかけていました。 現場でも、それぞれの立場で考えた課題ややるべきことは持っていました。そして、 両方からその課題リストが出てきました。 ここまではよかったのですが、その内容は一部こそ重複していましたが、多くは異な っていました。更に、優先順位も期限の記述もなかったのです。 トップは、いくら投げても、いつまで待っても何も返って来ない状況に不満を持ち、 現場は現場で日常業務や割り込み仕事に追われ、とても新しい課題に取り組む余裕は ありませんでした。 課題に優先順位を付け、テーマの選択を行い、資源を集中させるということすら行わ れていませんでした。もちろん、上下や水平間で課題を共有し、その課題に対して確 実にコミットするという仕組みもありませんでした。 トップの思いと現場の事情がずれているだけでなく、それを摺り合わせ、具体的な計 画に落とし込む現実的な手段をまったく持っていなかったのです。 ▼ 噛み合わない思いをひとつにまとめる O社のような場合には、課題を解決するのは技術部門だけ、トップだけの問題ではあ りません。お分かりだと思いますが、営業や、企画部門、ときには間接部門まで巻き 込んでプロジェクトを推進しないといけない場合が殆どです。 トップや部門長の理解、現場での何とかしないといけないという問題意識が、こうい うプロジェクトを成功させるには欠かせないものになってきますが、その次の段階と しては、現場で課題を共有し、トップの承認を得てオーソライズし、実際にコミット して動かす仕組みが実際に必要になってきます。 このためには、問題を共有し、資源を集中させ、各部署の連携を確実なものにするた めの経営計画、製品開発計画、これに基づいて作られた製品の仕様書、そしてこれら を実行に移すためのスケジュールの作成が必須になります。 O社では、今まではそのどれもありませんでした。 下請け時代が長く、今までは製品を企画する必要がなかったのです。 放っておいても親会社から仕様が下りてきます。 営業もそれを貰いに行くだけで済んだのです。 しかし、これからは今までとは違ってきます。 自らのオリジナル商品の開発には、企画力や各部署の連携が必ず求められるのです。 これがないと、製品はできても売り先がない、コストが合わない、お客様の求めてい るものと違ったものが出来上がるといったいろいろな問題が確実に生じてきます。 このような状況では、社内の人間が物事をドライブしていこうとしても往々にして限 界があります。危機意識があっても、どうしてもサラリーマン的発想をしてしまう担 当者、アイデアばかり投げかけてフォローしない上層部。 プロジェクトを推進するには、それ相応の仕掛けが必要なのです。 どうしても人は自分の置かれている立場で物事を考えてしまい、全体最適を見ようと しません。たとえ一部の人がそうしたとしても、全体のコンセンサスはなかなか得に くいのが現実なのです。こういう場合は、私達のようなコンサルを使うのもひとつの 有効な手段になるでしょう。 ▼ 出てくる課題、出てこない企画書 O社の場合は、徹底したヒアリングとディスカッションを何度かに分けて行い、その 中で情報と問題意識の共有を図ると同時に、各部署の課題を抽出し、それらを全員で 共有できるように持って行きました。 そして、それらを絞り込み、現実の業務としていくつかのプロジェクトに落とし込ん だのです。 まず、最初に行ったことは徹底したヒアリングと課題抽出です。 時間をかけて何度も行いました。その中で、漠然とした問題意識を具体的なものに置 き換えていったのです。 O社の場合は、幸いなことに財務状態がそれ程悪くなく、一番の親会社からの仕事が なくなってもなんとか黒字化だけは達成していました。 社長の取った決断は、自社ブランドのオリジナル商品のないO社が時間をかけずにオ リジナル商品を手に入れる手段としての企業買収でした。 ある業界のオリジナル商品を設計してきた部門を買収したのです。 しかしながら、その会社のブランドそのものを買ったわけではなく、自らのブランド とオリジナル商品は自社で開発し販売する必要があったのです。 O社では、技術部門の責任者が、初めて経営計画書を作成していました。 しかし、そこに込められた思いは理解できるのですが、目標を具体化する手段、施策 はそこには記載されていませんでした。 そこで、まず開発企画書の作成をお願いしました。 他社の競合製品の調査と、その機能や仕様の一覧表の作成も併せてお願いしました。 しかしながら、困ったことにこれらはいつまで経っても出てこなかったのです。 O社では、技術部門の責任者の下で、複数のプロジェクトを走らせました。 リーダーからやっと出てきた企画書には、その製品に対する思いがかかれていました が、それがいつの間にか思い込みに姿を変えていました。 例えば、OEM供給先でもある競合他社に対処するため、最初から自社ブランドのオ リジナル商品を市場に出すのではなく、メンテナンス機器として出す計画が載ってい ました。また、「自社オリジナルシステムを開発」という記述と「他社のシステムに 組み込むことが可能な汎用性」というような矛盾した記述も見受けられました。 これら全てに対して、「本当ですか?」と問いかけることによって、ひとつひとつ内 容を検証していきました。 比較表も出てきません。 その担当プロジェクトリーダーによると、知らない情報が多過ぎて表が穴だらけにな るために作成できないとのことでした。 では、逆に比較表を作成することによって、分からないところや、不足している情報 が分かるのではないですかと問いかけていきました。 その過程で、情報を集める手段としての展示会の利用もなされておらず、営業の製品 知識や情報収集体制にも問題があることが分かってきました。 今まで設計すれば親会社が買ってくれる、営業が売ってくれると思い込んでいた技術 部門のひとりひとりが、この過程で現状を認識し、漠然とした問題意識を現実の具体 化した問題として捉えることが少しずつ可能になってきたのです。 しかし、まだまだこの時点では、本当に自分自身の問題として課題を捉え、自分から 能動的に対処するところまではいきません。ひとつひとつ問題を自分自身で考える、 そしてどう行動するかを判断できるようになる具体的な過程が次に必要なのです。 同時に、部門を横断した企画会議や、決定事項のトップによるオーソライズの仕組み も作り上げました。ここで決定されたことは、必ずコミットしていくルールを作った のです。 これで現場も言い訳ができませんし、トップも勝手なアイデアを次々と投げかけるこ とはできなくなりました。 このような一連の作業により、資源の集中、テーマの選択、情報の共有、そして何よ りもそれぞれの部署が自立して自律的に動けるようになる基礎作りを行っていったの です。O社は、次第に個人レベルから部署レベルまで動く集団に変わっていきました。 ▼ 3層の連携と人・組織がもたらす製品開発力 さて、今回のO社の事例でも3層の連携がきちんと存在します。 買収した会社を通じてオリジナル製品を売る仕組みを表層、O社の技術力を深層と捉 えることができます。 情報を収集し、製品企画にフィードバックする。そして、部署横断的に企画・戦略を 立案し、具体化してスケジューリングする仕組みが中継層に相当します。 ここで大事なのは、そこに各部署間の連携やトップから現場まで含めて、課題を見え る形、対処できる形に変えていく仕組みを作り上げたことです。 更に、社員、組織が自立して自律的に行動できるように意識改革が必要でした。 これは私がいつも申し上げている人・組織の問題の部分です。 製品開発力は、技術力だけではありません。売れる商品、ユーザに受け入れられる商 品をどう企画開発し、どのような方法で売っていくのか。これら全てが揃って初めて 製品開発力と言えるのです。 常にマーケットを意識して、技術を利益に変えていく仕組みこそが大切になってきま す。そして、この仕組みがあって初めて技術がマーケティングをドライブできるので す。 ■ 今回の私のコラムをお読みになり、どう感じられましたか? 是非読者のみなさんのご意見をお聞かせください。 ■ お知らせ 筆者は、中小企業ベンチャー総合支援センター近畿のチーフアドバイザを兼務してい ます。予め申し込んで頂ければ、無料で対面相談をお受けできますので活用下さい。 http://www.jasmec.go.jp/center/kinki/index.html 尚、お申し込みは支援センターに直接お願いします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ (C) Copyright 生島大嗣 HP http://www.i-kit.jp/ 連絡先 gikei041@i-kit.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【ご意見・ご感想はお気軽に】 tm-mag@freeml.com 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