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メー ルマガジン コラム バックナンバー |
| アイキット代表 生島 大嗣 がコラムを執筆しているメールマガジンのバックナンバーです。 |
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1. 「技術の経営 − 顧客志向だけでは勝てない」 |
| ◆ 技術戦略思考の実現 ◆ |
| 2004年 5月 19日 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 技術の経営−顧客志向だけでは勝てない− 1946 部発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ ■ ◆ 技術戦略思考の実現 第11回 ◆ ■■ ■■ 「技術の経営は総合的連携力」中編 ■■■ ■■■ アイキット <技術戦略マーケティング> 代表 生島 大嗣 ■■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今回は「技術の経営は総合的連携力」の中編です。 (前回、前編と後編の2回に分けてとお伝えしましたが、少々長くなりますので3回 に分けてお届けします) ▼ 前回の要約 前回は、欧米型の社会で成功しているMBAを引き合いに出してMOTとの関連を説 明しました。 http://www.i-kit.jp/biz/gikei/gikei10.html 「米国のMBAは、知識が循環する、お金が循環する、実体の伴った「文化」が存在 する。即ち、MBAはアメリカの文化の中で息づいてきたものである」 前編で述べたこの言葉の意味は大きいものがあります。 この「知識、資金の循環型社会」という文化・背景があってMBAは成立しているの です。 MOTもMBAと同じく循環型社会があって、社会システムとして初めて機能するも のであるという認識が必要です。更に、MOTは教育としての体系であるということ も忘れてはなりません。 「MOTを導入して企業の経営を・・・」というようなフレーズと、MOTの本当の 姿とは少しずれがあるのです。 このことから生じる問題点は次の通りです。 1.現在、各大学でMOTコースが設置されつつあるが、これにより循環的社会が日 本で成立するとしても相応の時間がかかる。また、そもそもこの欧米型循環社会 が日本で成立するのかという問題も潜んでいる。 2.循環型社会のための教育体系であるMOTを、循環型社会に組み込まれていない 現在の日本企業にそのまま導入するには無理がある。 では、これらをどう解決し、日本型の実践MOTである「技術の経営」を企業内でど のように実現すればよいのでしょうか。 今回はまず、欧米型の経営がそのまま従来の日本企業で成立しにくい原因について、 マネジメントに焦点を当てて探っていくことにします。 ▼ 日本型実践MOTの必要性 〜 人材の不整合 欧米型MOTが機能するための環境とはどういうものなのでしょうか。 言うまでもなくそれは欧米型のマネジメントが機能する組織です。そしてその組織は 欧米型の循環型社会の上に成り立っているのです。 しかし、この欧米型マネジメントをそのまま日本企業に導入するのは難しいのです。 例えば、MBAを取得した人が欧米資本の企業に移籍しています。 この原因は、「MBA的な考え方を評価してもらえない」、「実力が発揮できない」 というところにあるのではないでしょうか。 ですから、MBA的な業務の遂行方法を評価してくれる、循環型社会に組み込まれた 欧米企業に移っている人も多いのでしょう。 余談ですが、この循環型社会に組み込まれた方の行動を見ていて面白いと思ったのは、 自分のプレゼンスを上げ、何回も企業間を移りプロモートされつつ、最終的には大手 の幹部として落ち着かれるという人も多いことです。人間は社会人生涯の最後まで、 競争を続けるというのも難しいものなのかも知れません。 さて、話を日本企業に移しましょう。 最近、一部の日本企業でも経営職候補生的なプロフェッショナルの採用が既に始まっ ていますし、社内でも育ててゆこうという動きがあります。 しかし、実態はまだまだ効率がよいものではないと言わざるを得ません。 欧米型のトップダウンマネジメントが機能していないのに、欧米型の行動様式の人間 を採用して混乱している企業も見られます。まだまだ試行錯誤の過程だというところ でしょうか。 例えばあるメーカーで採用した経営職候補生が2年で退職してしまいました。 彼は「経営職候補生採用でもあの程度か」というような周囲の目に耐えられなくなっ たのもその一因だったのですが、実は結構実力のある方だったのです。 個人実力主義で生き抜いてきたMBAや会計士というようなプロフェッショナルとた たき上げの現場との意識の乖離の現象が見られ、このフォローがうまくなされていま せん。 トップや組織の方針が明確に策定なされない状態でプロフェッショナル採用を行い、 うまくいかない例もあります。悪い意味での朝令暮改が繰り返されていたのです。 また、組織間で整合していないミッションが与えられている場合もあります。 事業開発部門で新規事業を行うミッションがある一方で、人事部門でリストラのため に他社との合弁企業設立を目指した新規事業ミッションがある場合も実際に見てきま した。 ミッションの不整合や朝令暮改の方針の下で右往左往させられるプロフェッショナル 達も存在しているのです。 朝令暮改で且つミッションが整合していない状況が生み出される原因は、経営トップ のマネジメントの欠落以外なにものでもありません。しかしながら、実際に日本型企 業ではこのような状況が見られるのです。 このように、欧米型の人材をやみくもに採用するだけでは経営はうまくいきません。 これからの日本企業でも必要とされるプロフェッショナルが、本当の実力を発揮でき るなんらかの仕組みが企業にも必要でしょう。 ▼ 日本型実践MOTの必要性 〜 マネジメント不在 よくこんな状況を見かけませんか? ある日、新任のマネージャに電話がかかってきます。 「ああその件ですか。そうですか、毎年うちでやっているんですか。分かりました、 任せてください」 そう言ったマネージャは、ある女性社員Iさんにこう指示します。 「いつもうちでやっているこの件だが、頼むよ」 指示されたIさんも転勤してきて間がなく様子が分かりません。勿論マネージャに聞 いても段取りは分からない。周りの人に聞くと、いつも担当していた人が急に退職し て誰もその業務を引き継いでいないことが判明しました。 それからのIさんは、関連部署を回り、電話をかけ、過去の資料の断片を集めて業務 の掘り起こしから始めました。 なんとか間に合いマネージャに報告すると、マネージャは電話で 「あの件だが、ちゃんとやっておいたよ」 と自慢気に連絡したのです。 このような話はみなさんも経験しておられると思います。日本では現場がマネジメン トをある程度吸収しているのです。 上の話のキーワードは、日本特有の習慣である「引き継ぎ」です。 欧米では業務が単純化、モジュール化(部品化)、マニュアル化されており、引き継 ぎなしでも回るようにシステム化されています。 更に業務研修等も充実しており、研修を受ければ誰でも業務をこなせるようになって いるのです。そのために、最近ではe-Learning等も広く取り入れられています。 この反面、組織の長であるマネージャは、大きな裁量権を持ち、同時に責任と義務を 負っています。マネージャが部品化したモジュールを動かすのです。 勿論報酬も多く、経営トップともなると莫大な報酬が得られます。 これは、マネージャや経営トップが人的資源として流動化しており、人材の市場があ るからなのです。成績を残さないといつ首になるかも知れない反面、優秀だと自分を 他社に売り込めるのです。どんな組織にいたかではなく、どのプロジェクトで何をし ていたかで判断されるのです。 ある日本企業J社の研究所での例ですが、権限委譲を行い今まで部長クラスが持って いた決定権を課長クラスに降ろしました。 この決定に従い、決裁のワークフローがコンピュータシステムに組み込まれました。 ところが、現場からシステム部門にある注文が入ったのです。それは、課長クラスの 決裁を部長クラスが管理できるようにして欲しいというものでした。 J社の全社方針を現場が採用するのを拒否したのです。 結局ローカルルールが作られ、現場のシステム部門がこの難しい注文に対応せざるを 得なかったのです。 これらの例は日本型の大企業での例ですが、マネジメント不在とマネジメントの非効 率を象徴するものです。 世の中はもっとスピードが要求されるようになってきており、これからは非効率な組 織は結局は淘汰されていくしかないでしょう。 ▼ マネジメントを機能させるには 日本の企業でも、ビジネスの表層を構成するモジュールでは様子が少し違ってきます。 3層構造の表層のオペレーション部分では、経営トップやマネージャークラスとは違 って人的資源の流動化は実はもっと簡単ですし、現に日本でもこの領域では取り替え が可能な人材の流動化が始まっています。 企業では人材を育てるより「即戦力」になる人材を求め、速いスピードでオペレーシ ョン部分に投入し始めているのです。 よい意味でも悪い意味でも「現場主義」ということがよく言われます。 これは業務の単純化、モジュール化(部品化)、マニュアル化が行われて、真の意味 でのマネジメントが行われておらず、先の例に見られるように現場がこれを吸収して いるという事態が往々にして見られます。 日本では、マネージャは本当の意味でのマネジメントをしていないことが多いのです。 この結果、欧米に比べ報酬は低いのですが、マネージャやトップの地位は比較的に安 定しており、マネージャや経営トップの人材の流動化も起こりませんでした。 そして少なくとも今までは、この方法でうまく回ってきました。 右肩上がりで、組織の目標が単純な間はこの方が効率がよかったのです。放っておい ても、現場が考えちゃんと業務をこなしてくれたのです。 ところが、この現場主義とも言える方法では、昨今うまく組織が回らなくなってくる 事態があちこちで生じています。 従来の成功事例への固執も一因でしょうし、外的な変化が現場で吸収できる量を大き く上回ってきたことも原因でしょう。 このような場合には、適切なマネジメントを導入し、優秀なマネージャが事態を把握 して方向性を決めて行かなければなりません。一見したところ欧米型です。 しかし、形だけ欧米型を導入する企業が多いのですが、先に述べた人材の不整合や方 針策定の欠如が起こるとうまく機能しません。 更に、日本企業の現場のノウハウや知識集積も活かされないことになりかねません。 欧米型マネジメントの表面の事象だけに目を奪われてはうまくいきません。 日本の組織は、現場がノウハウやマニュアルを潜在的に持つということを忘れてはい けないのです。最近では、これを形式知、暗黙知という言葉で表すことも流行ってい ます。 何が自社のコアコンピタンスなのかを認識し、この部分は自社で持ち続けるというこ とは勿論ですが、更に大事なのは、単純化、モジュール化、マニュアル化というプロ セスを経ずに表層のオペレーションにアウトソースや派遣社員の導入を行うとプロセ スの影に隠れた大切なものを失う危険があるということに気付くことなのです。 更に、単純化、モジュール化、マニュアル化には、相当の時間とコストが必要である という理解も重要ですし、また単純化、モジュール化、マニュアル化だけでは処理で きないところがあるという認識も大事なのです。 まずこの切り分けを行うことが大切です。 必要なところには、明確な方針に裏打ちされたトップマネジメントをきちんと機能さ せると同時に、現場のノウハウや知識集積もボトムアップの形で現場を納得させる形 でうまく働かせるという、欧米型にはない日本独自の仕組みを考えないといけないの です。 そして、まだまだ循環型社会になっていない日本においては、これを補間する意味で 今必要なのは、マネージャの実力を向上させる方策と、現場からのボトムアップです。 そして、これらが企業の3層構造とうまく連携するような仕組みを整えることが重要 になってきます。 そして、この考え方こそが循環型社会の欠如を企業内で補う方法だと考えています。 次回はいよいよ、実際にどのように欧米型循環社会の機能を企業内で補間し、日本型 実践MOTの「技術の経営」を実現するかという問題について考えていきます。 ■ 今回の私のコラムをお読みになり、どう感じられましたか? 是非読者のみなさんのご意見をお聞かせください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ (C) Copyright 生島大嗣 HP http://i-kit.jp/ 連絡先 gikei@i-kit.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【ご意見・ご感想はお気軽に】 tm-mag@freeml.com までお寄せください。皆さんのご意見をできるだけ誌面に反 映させて参りたいと思います。 また、執筆者に質問、あるいは、議論をしたい方は、技術の経営の公式メーリング リスト 技術の経営メーリングリスト http://infoscape.jp/tms/ml.htm に参加の上、メーリングリスト上でお願い致します。 また、メールアドレスを公開している著者は、個人的に質問もOKです。ご遠慮な く、メールをください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行/編集元:エム・アンド・ティ・コンサルティング 好川哲人 http://www.infoscape.jp/tms/ mailto:tm-mag@freeml.com 登録・解除は以下のURLで行うことができます。 http://www.infoscape.jp/tms/magazine.htm 当サイトへのリンクは自由です.また、本マガジンの転送も自由です.引用・ 転用について御希望の方は、エム・アンド・ティ・コンサルティングまでお問 い合せ下さい. 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