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メー ルマガジン コラム バックナンバー

  アイキット代表  生島 大嗣 がコラムを執筆しているメールマガジンのバックナンバーです。


 
1. 「技術の経営 − 顧客志向だけでは勝てない」 

      ◆ 技術戦略思考の実現 ◆


2004年 3月 17日

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 技術の経営−顧客志向だけでは勝てない−            1974部発行
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■       ◆ 技術戦略思考の実現   第9回 ◆
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■■         「お客様との距離を戦略に盛り込もう!」
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■■■          アイキット <技術戦略マーケティング> 代表 生島 大嗣
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あるソフトウェアエンジニアで、日本の企業からアメリカに渡り、ベンチャー企業の
共同設立者として活躍している人のお話です。

「アメリカのベンチャーは、お客さんと技術者の距離が近い。日本の企業の場合、そ
の距離が遠くて、研究者がお客さんの声を聞くことがなかった。なんでボツになった
のかもわからないまま、新しい開発をしていかないといけなかった」

これはアメリカの、それもベンチャー企業の話ですが、一般論としてもある問題を提
起しています。
私はあるメーカーのエンジニア出身ですが、事業部にいたときも研究所でもこれに近
い状況でした。確かにこの点は徐々に改善してきている企業もちらほら出てきていま
すが、多くの企業ではまだまだこれからというのが現状なのです。

これからの社会ではこの点を改善していかないといけない状況なのはお分かりだと思
いますが、あなたの会社ではどうでしょうか?



▼ お客様との距離を縮める戦略策定

第2回 「あなたの会社は大丈夫? − 技術戦略が機能する環境作り」で取り上げた
読者からのレスポンスの1件目を覚えておられるでしょうか?
http://backno.mag2.com/reader/BackBody?id=200308201100000000111879000

この話は、技術部門と営業部門との間の配置転換に関するものでした。
この部分を再掲します。

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これは、元々の配置転換の発想がまったく違うことが原因だと考えられます。
この会社では、
・移動は一方通行
・営業の戦力強化が目的であり、営業としての成果が問われる
という内容でした。この方法では技術者としてのアイデンティティは失われていきま
すし、本人に不満も残るでしょう。また、人材の選定も適切だったとは思えません。

営業としての成果だけを問うのではなく、市場ニーズに触れるという教育効果を重視
して、その考え方を技術に持ち帰るという発想で行えば違ったものになったのではな
いでしょうか。
勿論、それなりにコストはかかりますし、短期ではコストは回収できませんが、長期
的に見て有効でしょう。これにはトップの判断が重要になってきます。

一番重要なのは、前回述べたように、「深層」−「中継層」−「表層」の各層を連携
する戦略なのです。
この読者の会社では、この戦略がなく、表層でのオペレーションの問題だけを対症療
法的に解決しようとして技術から営業への人員の移動が行われました。この戦略の欠
如がうまくいかなかった一因だと考えます。
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この内容は、教育効果について述べていますが、少し視点を変えて別の角度から見て
みましょう。

営業に出て行った技術者が、研究や開発、設計等の部署に戻ることによって、お客様
の本当のニーズが上流にフィードバックできる要因が長期的に形成されます。
しかし、これをもっと戦略的にシステマチィックに行うにはどうすればよいのでしょ
うか?

研究開発設計部門や生産部門に、お客様の声が速く確実に届くような工夫がいること
は明白です。

例えば、お客様のクレームに対してどのように対処するのでしょうか?
クレームをネガティブな要素として捉えるのではなく、宝の山と考えてシステマティ
ックにフィードバックする方法を考えなければなりません。

第6回 「お客様は経営資源?」で述べたように、単にCSだけの問題ではありませ
ん。これを企業の現場に日常的に如何にフィードバックするかが重要なのです。
http://backno.mag2.com/reader/BackBody?id=200312172130000000111879000

営業現場で知りえた情報も大事です。
この情報には様々なものがあるでしょう。
他社の動きのような営業的なものから、製品開発に直結するような市場動向もある筈
です。

材料、設計、生産方法、必要な設備、新技術、知財情報、マーケティング情報等いろ
いろな情報が行きかいます。
これを如何に整理して、システマティックにフィードバックするかを日常業務に組み
込まないといけないのです。

ただいつも述べている通り、企業は1社として同じ企業はないのです。
ですから、自社に最も合った方法を自ら考え出さないといけないのです。

一例を挙げましょう。
関西のあるメーカーでは、必ず技術部門の要因が営業に同行しています。
こうすることにより、技術部門に情報がフィードバックされるようになります。
短期的な市場ニーズだけでなく、長期的な市場の動向も上流部門が把握できることに
なります。こうすることで、プロダクトアウトとマーケットインがうまく組み合わさ
れる土壌が出来上がるのです。



▼ キーワードはお客様との距離

お客様との距離を常に考えた戦略を考えなければならないのは、上に述べた通りです。
これを常に考慮した戦略を立てる必要があります。

前にも述べましたが、これからの社会は極論すると市場というものが先にあった時代
とは異なってきています。
単なる市場調査だけでは、お客様が本当に望むものは見えてこないのです。

セブンイレブンが商品開発をメーカーに任せてばかりいるのではないというのは有名
な話です。逆にお客様に近いというメリットを活かしてメーカーを主導しているので
す。

お客様に近いところが、お客様自身がまだ気が付いていないニーズをあの手この手で
掘り起こしています。
最近になって、メーカーもこの重要性を認識するようになってきました。
これからは、この距離を認識することがまず大事になってくるのです。



▼ お客様との距離を考えた戦略策定と戦略形成

前回、戦略策定と戦略形成について少し述べました。
http://backno.mag2.com/reader/BackBody?id=200402181100000000111879000

まずは戦略策定に、お客様との距離を縮めるための工夫を盛り込むことが必要になっ
てきます。

戦略は作りっぱなしではうまく機能しません。
昨今ビジネスのスピードは昔と比べて速くなってきています。
従って、状況に合わせた修正がどんどん必要になります。

現場から、トップから、各自が問題意識を持って修正できるような運営が重要になる
のです。勿論そのためには私の考える「技術の経営」の2本柱の、「3層構造」と人
の能力を活かすための「人・組織」の両面からのアプローチが必要なのは言うまでも
ありません。



▼ 戦略策定のセグメンテーションの量子誤差をどう吸収するか

運用とフィードバックを考慮した戦略形成も戦略策定と同様必要になってきます。
これについて簡単に説明しましょう。

一例として、戦略策定に用いる有名なBCGポートフォリオマトリクスという手法を
考えてみましょう。
製品のライフサイクルに適用した例は、市場成長率を縦軸に、市場シェアを横軸にと
り次のように表されます。

                高
            市  ↑            |
            場  |  花形商品  | 問題児
            成  |――――――┼――――――
            長  |  金のなる木| 負け犬
            率  ↓            |
                低
                  高←―――――――――→低
                          市場シェア

実際には、この4つの場合分けだけでなく、様々な位置があるのは異論がないでしょ
う。しかし問題を顕在化し認識するためには、このような単純なマトリクスを使うの
は有効なのです。

実際には、マトリクスは3×3より大きなものは実用的ではありません。
せいぜい2×2、2×3くらいのマトリクスぐらいが人間が直感的に把握できる限界
だからです。

ところが全てこれで割り切れるかというとそうではありません。
現実の状況は、種々様々な場合に遭遇します。
これは、現実のアナログ物理量をディジタル化する場合にある意味似ています。
サンプリング周波数を下げれば、量子化誤差が増えるわけでが問題を認識するのには
役に立つのです。

従っておおまかな分かりやすい戦略策定は、このようなものから出発して、より細か
な戦術も同時に併せて考えなければなりません。
そして実際に適用した後でも、大きな修正を待つことなく、戦略形成とでも言うべき
より細かな運用と修正が常に必要になってきます。

実際の運用には、現場のひとりひとりからリーダーまで、多くの人の力量にも大きく
依存してきます。
これが、戦略のための「3層構造」と共に、人の能力を活かすための「人・組織」の
問題が「技術の経営」の2本柱であると私が考える理由なのです。

これらがあって、初めてお客様との距離を縮めることが可能になってきます。
実際の場面は企業により様々ですので、これ以上の個々の場面については直接ご相談
頂くしかないのですが、方向性についてはご理解いただけたでしょうか。

今回の私のコラムをお読みになり、どう感じられましたか?
是非読者のみなさんのご意見をお聞かせください。



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