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メー ルマガジン コラム バックナンバー |
| アイキット代表 生島 大嗣 がコラムを執筆しているメールマガジンのバックナンバーです。 |
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1. 「技術の経営 − 顧客志向だけでは勝てない」 |
| ◆ 技術戦略思考の実現 ◆ |
| 2003年 11月 19日 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 技術の経営−顧客志向だけでは勝てない− ● 1923部発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ ■ ◆ 技術戦略思考の実現 第5回 ◆ ■■ ■■ 「覚悟はできていますか?」 ■■■ ■■■ アイキット <技術戦略マーケティング> 代表 生島 大嗣 ■■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第1回から第3回まで、技術戦略について述べてきました。 前回の第4回では、「イノベーションのキーになるもの」と題して人をどうマネジメ ントするかというテーマについて述べてきました。 これは、私が「戦略」のマネジマメントと同時に「人」のマネジメントが技術経営を 考える際に大事だと考えているからです。 みなさんお気付きだと思いますが、実際に企業のお手伝いをさせて頂いく際には、切 り口が戦略や他の部分であっても、実際にそれを遂行していく段階になるとこの「組 織、人」の部分の問題が顕在化してくることが実に多いのです。 「技術経営」とは、「技術」を「利益」に結びつける手段と考えています。 しかし、これを実行に移すには同時に「組織」や「人」の部分を考えていかなければ なりません。 実はこの部分は、技術をバックボーンとした企業だけでなく、一般の企業、組織でも 基本はまったく同じなのです。 ▼ 技術経営の2つの切り口 私は、技術経営を次の2つの切り口で考えていきます。 1.利益を出す仕組みを考える(3層構造の確立、戦略の部分) 1−1) どうやって技術を獲得し維持するのか? <深 層> 基礎研究開発力獲得、知的財産権の獲得、人材の獲得と教育、社内風土 1−2) どのように技術を製品に活かすのか? <中継層> 製品開発戦略(プロダクトアウトかマーケットインか)、組織&制度作 りとその運用 1−3) どのように技術を利益に結びつけるか? <表 層> ビジネスモデルとビジネスプロセスの確立、マーケティング、セールス プロフェッショナル 2.社員の能力を活かす仕組みを考える(人、組織の部分) 優秀な人間を集めることと、社員の能力を活かすことには違いがあります。 いくら優秀な人間を集めても、能力を活かせないとただの烏合の衆になります。 例えば、いくら優秀でもイエスマンばかりの集団からは何も生まれません。 時代が変われば、働く姿勢、意識、行動様式も変える必要があります。 「組織は」そして「個人は」どのようにあるべきかというところまで踏み込んで 考えなくてはなりません。 今回の議論は、「2.社員の能力を活かす仕組みを考える」のところです。 厳密に言えば、1−1) どうやって技術を獲得し維持するのか? <深 層> の部分 に挙げている「社内風土」もこの「人、組織」の部分でしょう。 また、この「2.社員の能力を活かす仕組みを考える」部分も、私は3層構造で考え ていますが、複雑になるので今回はこの議論は省略します。 ▼ 問題意識を持つには 第2回 「あなたの会社は大丈夫? − 技術戦略が機能する環境作り」で、問題意識 について述べました。この部分を少し再掲します。 1) 問題意識を持って積極的に行動する 2) 問題意識は持っているが、行動すれば不利になるので気付かない振りをする 3) 問題意識を持てない(問題に気付かない) 3)は別の対応になるのでしょうが、2)の人を1)に引き上げるにはどうすればよいの でしょうか。 実は、この 3)の部分の対応が今回のお話に関係してきます。 儲ける仕組みが安定していた右肩上がりの時代では、組織や人の運用は比較的簡単で した。前回述べた「タスクオリエンテッド」な考え方で事足りたのです。 しかし、思わぬライバルの出現や顧客の求めるものが刻々と変わっていく昨今では、 この変化に対応していかなくては企業の存続も危ぶまれる状況になってきました。 技術においても、新しい応用や商品が次から次へと出てきて、市場からは早い対応が 求められるようになってきているのです。 これまでは通常、社員は上司から方針と仕事を与えられます。会社の組織は仕事の流 れに合わせて作られてきています。 以前なら社員は難しいことを考えずに、極端に言えば与えられた仕事を黙々とこなし ていればよかったのです。 しかし昨今は時代の変化が激しく、会社の組織通りに仕事をしていては対応し切れな い局面が増えてきました。自分で考えて行動する、また必要ならある程度枠を外れて 行動することが必要となってきているのです。 このような状況の中で重要になってくるのは、社員が自立して、かつ自律的に事態に どう対応していけるかなのです。 そして、ここで必要なのが「問題意識」をどう取り扱うかということなのです。 事態の変化に気付いていても対応しない、即ち対応しない方が得という状況を変え、 また事態の変化に気付かない社員に対してはこれを気付かせるような方策を考えなけ ればならないのです。 また、自律的に行動するにはある程度これまでの規範を外れることが必要となってく るでしょう。変な例えですが、今までの組織に縛られていると熱い物に触って「少々 お待ち下さい。熱いかどうか上司に聞いてきます」と言っているようなものなのです。 もちろん答が出るまでには大火傷をしてしまいます。 このような変化に即応できない行動を社員が取らないといけないような組織、行動原 則を企業として変えていく努力が必要なのです。 理想的なのは、トップが市場や社会の変化に気付き、組織をこれに対応させようとし てくれる場合です。しかし、このような場合でも落とし穴はいくらでもあるのです。 では、これをどのように解決していけばよいのでしょうか。 ▼ 掛け声ばかりで動けない 例えば、ある経営トップが市場の変化に気付き、これに対応して自律的に動くよう指 示を出したとします。その会社が既に自律的に動くような組織、人で構成されていれ ば何の問題もありません。 ところがトップが変化に気付いていても、古い組織を対応させようとしている場合に は問題が生じます。 「変えなさい。変わりなさい」といくら言われても、従来の社員の姿勢は、 「やらされる」「指示を待つ」「してもらう」「そして陰で不満を言う」 というようなものだったのでは、急にどう動いてよいのか分からず、また指示を待つ ということになります。 ある大企業の研究開発組織で、長年タスクオリエンテッドな管理をしていたトップが 交代し、新しい自律的に動くことを期待するトップに変わったのですが、数年間は変 化が現れませんでした。実際、イエスマンで固められた現場では、どう動いてよいの かさっぱり分からなかったのです。 結局、徐々に人が入れ替わり、トップの意向も浸透するようになるまで数年という時 間を要したのです。しかし、現在ではもっと早い対応が求められます。 ▼ 何故うまくいっているのか 以前、「情報が行き渡らないのが大企業の問題の原因だ」と言われた方がおられたの ですが、私は「情報が行き渡らないのは、原因ではなく結果です」とお答えました。 そういう縦割りの組織作りが、過去においては伝統的にうまく機能していたのです。 当然情報を共有することは、組織のためにも自分のためにもならない仕組みだったの です。 しかしこういう組織は、自律的に動く際に必要な情報伝達を阻害してしまうのです。 うまくいっている例としてトヨタを考えましょう。 トヨタと仕事をされているある方がこう仰っておられました。 「ある部署を訪問した後、数日経ってから関連部署を訪れると、もう話がその部署に も伝わっている。初めから同じ説明をしなくてよいのでとても助かる。他社では、 同じ話を違う部署に行く度に初めからしなくてはならない」 実は、正規の組織よりも組織を外れた情報伝達ルートが存在するというのです。 トヨタでは、時間外のサークル活動が盛んで、そこで社員が組織の枠を超えて情報交 換を行うというようなルートも存在するのです。 これは本来のサークル活動という目的を超えて機能しています。 会社のサークル活動に対する補助はそんなには多くないでしょうが、それでも一見無 駄なコストに思えます。ところが、これにはそれ以上の価値があるのです。 この部分は、企業文化、風土というものであり、一朝一夕には築き上げられるもので はありません。 ところが面白いことに、うまくいっている会社の社員に聞いても答は出てこないので す。それは、組織が、そして社内風土がうまくいくように既にできているからであり、 そこで働く個人は特別それを意識してはいないからなのです。 こういう積み重ねでうまくいっている組織というものは、たいていの場合社員は何故 うまくいっているのかを気付いていないことが多いのです。 ですから、うまくいっている会社の社員を1人引き抜いてきても、余程の実力がない と違う組織では能力が発揮できなくなってしまいます。 また逆に、あまり能力が発揮できていない社員が異なる組織に属したとたんに優秀な 社員になることもあるのです。 ▼ 何を変えればよいのか 組織のトップが変わりなさいと指示し、社員も変わろうと思っている場合でも、今ま で「やらされる」「指示を待つ」「してもらう」「そして陰で不満を言う」ことに慣 らされていた社員にとっては、具体的な指示がトップから出てこないと下はどう動い てよいか最初は分からないものです。 しかし、実はトップも具体的にどう指示してよいか経験がないので分かっていない場 合が多いのです。最初は社員にはこのことすら理解できないことが多いのです。 ある中堅企業では、実はトップも具体策を持っていないことが社員に理解できたこと から、改革、変化が始まりました。 では、どうすれば組織が変わり自律的に行動できるようになるのでしょうか? それには次の2点が最も重要と考えています。そして、これが本質だと思っています。 ・社員が経営に対して信頼感が持てること ・社員が仲間に対して信頼感が持てること 具体的な方策は、企業、組織の数だけ存在しますし、仕掛けはいろいろと用意できま す。経験的にこのような仕掛けと組織作り、運営が人を変え組織を変えるために必要 だと考えています。 この仕掛けによって変化を促し、目的の方向に誘導するのです。 そしてこれを行うには、トップからボトムまでのあらゆる層の人に相当の覚悟が必要 なのです。例えば、このようなものがあります。 ・部下に権限を委譲できるか? ・必要以上に細かいことまで、いちいち報告を要求しないで任せられるか? ・下は下で、自分の仕事の結果に責任を持てるか? ・任せた部下の仕事の責任を取れるか? ・社内の論理ではなく、市場の論理で動き、社内を説得できるか? そして自分が上司の場合、その論理を受け入れられるか? ・社内官僚、社内評論家を排除できるか? ・新しいことを始めようとした社員が損をしないか? ・誰かが足を引っ張らないか? ・反対のための反対意見を言わない風土を作れるか? ・一見無駄に見えることでも重要な社内風土作りに有効なことを見破り、コストを かけて存続させられるか? ・組織運営の目的と人の評価の方向性に整合性があるか? etc. ある中堅の会社で、トップの意向を受け社内改革が始まりました。 しかし、数ヶ月経ってもうまくいきません。 調べると、番頭格のNo.2があらゆる場面でトップの意向、つまり変革の必要性を長 々と説教し、社員は黙って下を向いて話を聞いています。この方の影響力が大きいた めに、他の社員はただうつむいて話を聞くだけだったのです。 この場合は、この方に外れて頂くというトップの決断が必要になります。 即ち、この事例でも、覚悟が重要なキーになるのです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ (C) Copyright 生島大嗣 HP http://i-kit.jp 連絡先 gikei@i-kit.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【ご意見・ご感想はお気軽に】 tm-mag@freeml.com までお寄せください。皆さんのご意見をできるだけ誌面に反 映させて参りたいと思います。 また、執筆者に質問、あるいは、議論をしたい方は、技術の経営の公式メーリング リスト 技術の経営メーリングリスト http://infoscape.jp/tms/ml.htm に参加の上、メーリングリスト上でお願い致します。 また、メールアドレスを公開している著者は、個人的に質問もOKです。ご遠慮な く、メールをください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ |
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