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メー ルマガジン コラム バックナンバー |
| アイキット代表 生島 大嗣 がコラムを執筆しているメールマガジンのバックナンバーです。 |
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1. 「技術経営メール」 |
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生島の技術戦略思考 ◆ 第8回 |
| 2006年 6月 20日 |
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| ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃技術経営メール 第61号 2006年6月20日 日経BP社 ┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 「技術経営メール」はイノベーション(新製品/新事業開発)に取り組むリーダーに 向けた電子メール配信サービスです。テクノロジーを生かしてビジネスを創造する ためのヒントを「ビズテックプロジェクト」が毎週火曜日にお届けします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■生島の技術戦略思考・コンプセトを生み出す風土づくり■。 前回の本欄では、「企画立案チームと実践組織の作り方」と題し、企画立案チームと 実践組織について、筆者が考えるそれぞれの役割を説明した。 http://www.i-kit.jp/biz/gijutsukeiei/gijutsukeiei07.html 今回、企画立案チームのあり方に関し、さらに考えてみたい。 まず前回の定義を再掲する。 ●企画立案チーム 成長曲線を次々と生み出す戦略を考え、企業に不連続の成長をもたらすビジネスを 企画立案する役割を担う。単なる製品のイノベーションにとどまらず、 ビジネスモデルまで含めた広義のビジネスイノベーションを考える。 ●実践組織 企画立案チームが考え出したイノベーションを、実際に遂行していく組織である。 主役は、自ら考え動ける現場である。ロジカルシンキングよりも、組織のあらゆる 要因やバランスを配慮したシステムシンキングが求められる。 http://www.i-kit.jp/biz/gijutsukeiei/gijutsukeiei07.html つまり、企画立案チームはビジネスアイデア、コンセプトを作り上げてそれを 戦略に移すまでを担う。この企画立案チームを欧米的な考えに基づいて構成 してしまうと失敗することがあるので注意が必要だ。 欧米的な考えに基づくチームは、プロフェッショナルな専門家により構成され、 明確な方針、ビジョン、コンセプトの基に具体的な戦略を作り上げていく。 ここで注意すべきは、非常に専門性の高いプロフェッショナルは、それぞれの 専門に基づいてプロの仕事をすることには秀でているが、彼等自身が方針や ビジョン、コンセプトを作るわけではないということだ。 自社の深層のコアコンピタンスにつながり、新しいビジネスアイデアの核となる ビジョン、コンセプトは、日頃から問題意識を持って様々な情報に接し、自社や 社員、自社の製品やサービスに思い入れのある者にしか作ることができない。 米国では、これらについて常に考えている経営トップが明確に方針やコンセプトを 打ち出してくることが多い。もしくは、いわゆるオープンイノベーションにより、 ベンチャー企業や大学、ときには個人が創意工夫により創造したコンセプトや 概念、ビジョンを大企業が取り入れる。 よく指摘されることだが、米国には、人と知識、情報、お金がうまく巡回する 社会基盤ができている。特にシリコンバレーは、地域全体がひとつの企業のように 機能しており、オープンイノベーションの場が形成されている。そこでは、 プロフェッショナル人材、知識、お金がモジュールのように流動化し循環している。 極端に表現すれば、全てが単純化、標準化、モジュール化、マニュアル化されて いて、それらを集めてくればチームや企業ができてしまう。このチームに、 ビジョン、コンセプトをトップダウンの形で落とし込んでやれば、具体的な戦略 ができあがるというわけだ。 しかし、日本企業の場合、経営トップが明確なビジョンやコンセプトを示さない ことが圧倒的に多い。従来は、下からの提案を待つことが多かったが、大企業では 企業の中にある程度の人と知識、お金が回る環境があり、この中でクローズドな形 ではあるものの、イノベーションが起こっていた。 ところが、今の日本企業においてはこの形が崩れている。相変わらずトップは 下からの提案を待っている。ところが、下は短期的な成果を数字で求められる 評価尺度で縛られるようになった。つまり提案を出しにくい状態がある。 短期的な思考を求められ、余裕がなくなった社内において、人の交流や出会い、 情報の循環が格段に悪くなっているからだ。 このような状況で、欧米的な専門職チームを作ってしまうと、コンセプトのない 状態で数字だけを求める戦略をチームに求めるということになってしまう。 例を示そう。ある企業が将来の経営専門職含みで、多くのプロフェッショナルを 社外から集め、契約した。しかし、経営トップからの明確なビジョンやコンセプト の提示がないままに、プロ達は数値的な目標が与えられ、その目標を達成する計画 を作るよう命じられた。 さらに困ったことに、専門職による企画立案チームを作らず、契約したプロ達を 現場の各ラインに分散配置してしまった。会社は自分と運命共同体であると考え、 組織の存続を第一義に考えがちの生え抜き社員達と、専門性は高いが会社への 帰属意識は少ない個人主義のプロフェッショナル達が一体となって何を成し遂げる ことは容易ではなかった。 結局、この企業の業績は悪化し、会社に帰属意識のないプロフェッショナル達の 多くはこの企業を後にした。彼らには、この企業に留まっていなければならない 理由はなかった。 このような事態を避けるためには、日本的な意識を持った企画立案チームを 意識的に組織することが求められる。つまり、熱い思いを持っており、 自発的にビジョンやコンセプトを作り出す生え抜き人材を探し出し、 企画立案チームに配置するのである。 あ驍「は専門性の高いチームは戦略立案担当とし、ビジョンやコンセプトを 作り上げる自発的プロジェクトを別に用意する。このプロジェクトで 出来上がったコンセプトに従って、専門家が戦略を立案するという役割分担だ。 ここでもう一つ、大きな問題に突き当たる。ビジョンやコンセプトを作り出す ことはもっとも難しい。プロジェクトチームを一つ作って「考えろ」と命じても、 おいそれと生み出すことはできない。理想は、社内に自発的な コンセプトメーキングプロジェクトが数多く生まれるような企業風土をつくる ことだろう。企業内、可能なら企業外も含めて情報、知識、人が循環し、 常に新しいアイデアやモチベーションが生まれるという場を用意しておくのである。 このような風土や場の形成には長い時間が必要となる。そのような余裕はない という企業の方が多いかもしれない。となると、「自発的プロジェクトを トップダウンで作る」という、一見すると矛盾したやり方をとるしかない。 経営トップが熱い思いを持った人材をうまく選定し、それらの人材を 組み合わせて、自発的プロジェクトに近い形にもっていく。彼ら彼女らに 徹底的に議論させ、思いを具体化させる。 スタートこそトップダウンだが、議論の過程でそれぞれの人材が核になって いけば、情報や人が循環する場、そして風土を作っていくことにつなげられよう。 次第に自発的プロジェクトが有志の間でできあがる風土、場が形成される訳だ。 米グーグルの「20%ルール」には、これに近い狙いがあると考えている。 これは、「研究者に限らす、どのエンジニアも自分に与えられた時間のうち、 20%をクリエイティブなことがらに費やすことができるというルール」という。 http://www.nikkeibp.co.jp/sj/report/51/04.html 20%ルールは、もともとチーム的性格の強いベンチャーであったグーグルが 大企業になっても、ベンチャー的側面を維持しようとして仕掛けた一種の クローズドイノベーションだと思う。この場合、人的ネットワークは社外まで 延びているので、厳密な意味でのクローズドではないが。 このような企業風土が形成されると、自発的プロジェクトによりコンセプト およびそれを核としたビジネスアイデアが次々と生み出される。これらを検証し 、ゴーサインが出れば、プロを集めた企画立案チームが具体的な戦略に 落とし込み、実務組織が実行していくことになる。 もう一度整理してみたい。新しい事業につながるビジョンやコンセプトを創造 できる、熱い思いを持ち、ボランタリーの側面も併せ持つ「自発的プロジェクト」 が欠かせない。ここで作り上げられたビジョン、コンセプト、ビジネスアイデアを 受けて、「企画立案チーム」が具体的な戦略を練る。そして「実務遂行組織」が 実際のビジネスを推進する。もちろん「自発的プロジェクト」「企画立案チーム」 「実務遂行組織」は明確に分かれない場合もあるが、その場合でも、三つの役割を 意識しておく必要がある。一連の仕組みを機能させるカギは、ビジョンやコンセプト であり、それらを生み出す自発的プロジェクトが生まれるような風土と場の形成である。 前回(4月18日 53号)、技術をビジネスに結びつけるイノベーションの フレームワークの説明は締めくくりとすると述べたが、企画立案について補足が 必要と考えたので、今回は引き続きフレームワークについて述べた。 今後は、前回お約束したように、新製品を出した企業、技術関連の提携を発表 した企業といった実例を取り上げ、フレームワークをあてはめてみることで、 そこにどんな技術戦略思考があったのかを読者の皆様とともに読み解いていきたい。 また、フレームワーク自体の補足解説も継続して行いたい。 引き続き、お読み頂きますようお願いします。 生島 大嗣 (いくしま かずし) アイキットソリューションズ代表 http://www.i-kit.jp/ 大手電機メーカーで映像機器などの研究開発、情報システムに関する企画や 開発に取り組み、様々な経験を積んだ後、独立。 既存企業、ベンチャーのビジネスモデルと技術の評価、技術戦略と経営に関する コンサルティング、講演などに携わる。 現在は、イノベーション戦略プロデューサーとして活動中。 執筆しているコラムのバックナンバー http://www.i-kit.jp/biz/category/blog/9 生島ブログ「日々雑感」 http://www.i-kit.jp/biz/category/blog/7 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■日経ビズテック第1号〜第10号 発売中■■ 技術経営戦略誌「日経ビズテック」は一般書店、Web書店で発売しています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ェ━━━━━━ ■■前号記事再掲 MOTは本人次第■■ 「長期の夏休みをとられるそうですが海外旅行でもされるのですか」 「いや、実は大学院に通っておりまして、論文を一気に書き上げようと」 「へえ、MBAですか」 「いえ、MOTです」 「おお」 数日前、あるハイテクメーカーの幹部とこんなやり取りをした。 彼は激務の間に時間をつくってはMOT大学院に通い、ディスカッションに参加し、 宿題をこなしてきたそうだ。 いよいよ仕上げとして論文を書くことになり、ちょうど取得可能になった長い 夏休みを利用して、じっくり取り組むという。 論文のテーマを話していただいた。ある産業の課題を分析し、再生計画を描くことで 日本製造業の全体が復活するシナリオのたたき台としたい、という極めて前向きな 内容であった。 長年記者をしてきたため、筆者の性格は歪んでしまったらしいが、そうはいっても こういう前向きな案件に取り組んでいる人に会い、話をするのは実に楽しい。 筆者は、MOT(マネジメント・オブ・テクノロジー)の分野で新しい雑誌を作ろうと 悪戦苦闘してきたが、普通に話をしていて「MOT大学院に通っています」という 会話に至ったのは今回が初めてであった。 2003年前後、いくつかの大学院にMOTのコースが設けられ、当初は話題になった ものの、その後の状況についてはほとんど報道されていない。 一方、学生の獲得に苦労しているコースがあるという話が聞こえてきたりする。 しかし、そのようなこととは関係なく、自分で勉強しようと思う人は、自腹を切って MOT大学院に通い、勉強しているわけである。 まったく当たり前のことだが、勉強は自分でするものであると再認識した。 技術経営メール責任者 ビズテックプロジェクト担当 谷島 宣之(やじま のぶゆき) mailto:gkm@nikkeibp.co.jp ============================================================================ ◆本メールは送信専用メールアドレスから配信されています。 このままご返信いただいてもお答えできませんのでご了承下さい。 ◆本メール掲載の内容に関するお問い合わせ、ご質問、ご意見は mailto:gkm@nikkeibp.co.jp までお願いします。 ◆広告掲載をご希望の方は mailto:gkm@nikkeibp.co.jp へお問い合わせ下さい。 ============================================================================ ◆本サービスの申込内容の追加・変更および配信停止は http://gkm.nikkeibp.co.jp/ をご参照下さい。 変更等の際には、登録時にご指定いただいたユーザーIDとパスワードが必要です。 ユーザーIDとパスワードが分からない場合は、 https://passport.nikkeibp.co.jp/bizpwd/search_pass/index.html でお調べ下さい。 ============================================================================ ◆配信されたメールを第三者に転送することやWebサイトへのアップはお断りします。 ◆著作権は日経BP社に帰属しますので記事を許可なく転載することを禁じます。 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