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メー ルマガジン コラム バックナンバー |
| アイキット代表 生島 大嗣 がコラムを執筆しているメールマガジンのバックナンバーです。 |
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1. 「技術経営メール」 |
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生島の技術戦略思考 ◆ 第3回 |
| 2005年 10月 4日 |
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| ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ 技術経営メール 第26号 2005年10月4日 日経BP社 ┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 「技術経営メール」はイノベーション(新製品/新事業開発)に取り組むリーダーに 向けた電子メール配信サービスです。テクノロジーを生かしてビジネスを創造する ためのヒントを技術経営戦略誌「日経ビズテック」が毎週火曜日にお届けします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■生島の技術戦略思考・第3回・「停滞産業の復興は可能か?」 少し前、「イノベーションのジレンマ」の著者、クレイトン・M・クリステンセン氏 (ハーバード大学教授)の講演を聴講した。 教授は講演の中で「日本の大企業は『シンプルで誰でも使える製品』という カテゴリーに出ようとしない」と何度か言われていた。 つまり、氏が著作で言うところの「ローエンド型破壊」(過保護にされた顧客を 低コストのビジネスモデルで攻略する)、「新市場型破壊」(無消費と対抗する)を、 成熟した大企業は起こせない、ということだ。 講演後に私は「それでは日本の成熟した大企業はどうすればよいのか」と聞いた。 クリステンセン教授は「残念ながら、このルールに例外はない」と回答した。ただし 「親会社から独立した組織を作る、M&Aで新組織を手に入れる、という方法はある」 と補足された。破壊的技術は常に新しい組織から生まれる、ということだろう。 ![]() クリステンセン教授の回答に、異論はない。それどころか大いに賛成である。 如何に多くの大企業が、いわゆる大企業病にかかり状況判断を誤っただろうか。 大企業だけではない。私は、中小・中堅企業が同じ病にかかって思考停止状態に 陥った現場を数多く見てきた。 ただ困ったことに、クリステンセン教授によると、解決する方法はない。 「ハーバードビジネスレビューでも私の論文は悲観的であるとして、なかなか取り 上げてもらえなかった」と教授は語っていた。確かにかなり悲観的な見方である。 そこで停滞産業を復興する条件は何かについて考えてみたい。 私は日本でも米国でも原理原則は同じだと考えている。ただ、米国企業と日本企業は、 その置かれている環境が多少異なる。この辺りに何かヒントはないだろうか。 米国は「人材」と「知識」と「お金」というモジュールが循環する社会である。 これらのモジュールを集めると会社が作れてしまう。 米国では、大企業を辞めて大学に戻り、新しい知識を身に付ける人が多い。すなわち、 知識が循環している。大企業からベンチャー企業に転職しても、また大企業に戻れる 可能性は失われない。また、ベンチャー企業で成功した人が投資家の役割を担うことも 多くお金も循環している。日系大企業を辞めてシリコンバレーでベンチャーを起こした 日本人経営者が、私にこう言ったことがある。 「ここは、シリコンバレー株式会社なんですよ。人や金が流れているのです」 これに対し、日本は「人材」「知識」「お金」の非循環型社会と言えよう。米国の ような環境がない日本で、別組織を用意し、破壊的技術を育む方法は通用するのだろうか? 実は、大企業が別組織を作って成功した例は日本においても存在する。 SONY に対するSony Computer Entertainment Inc.、富士電機に対する富士通などだ。 中小企業やベンチャーでも、別組織により破壊的イノベーションに成功した例はある。 しかし、私が考えたいのは「社内で破壊的技術を作る組織を持つ」逆のやり方である。 日本においては、「人材」「知識」「お金」が循環する構造がまだまだ弱い。 社外で循環しないなら社内で循環させるしかない。これが困難なストーリーであることは 承知しているが、循環の仕組みを社内に持たないと日本の問題は解決しないと思える。 日本の企業は必要なものを揃えている。特に人材はいる。問題は組織、制度である。 もう一つの問題は経営トップだろう。事業化された技術や製品が「産業化」するには トップの判断がカギを握る。経営資源の割り振りや世の中の状況判断はトップの役割だ。 トップは責任を持って情報を集め、自ら考えて経営判断することを忘れてはならない。 ビル・ゲイツ氏は、1年に1週間のシンクウィークを設けて徹底的に資料を読み、 自ら考え抜くそうである。 新しい破壊的技術を手に入れて「死の谷」を越える場合と、産業化のために経営層の 的確な判断が必要な場合とは、決定的に局面が違う。だがこれらを混同している場合が 多い。勢いのある韓国企業にあって日本企業にないものはこの辺りであろう。 先日聞いた、大企業A社の管理職の話が印象的であった。彼は、中国等の安い製品に おされて業績を落としている製品の担当なのだが、その部門トップの口癖はこうだ。 「何人の社員を食べさせないといけないか分かっているのか。君らがちゃんと考えよ」 この部門トップは、状況を根本から変える破壊的技術の獲得など、初めから眼中にない。 A社は、ヨーロッパの某国における販売を強化する方針が出したが、そのために必要な 人員を社内から割かず、現地でセールスマネージャーを採用した。その彼には権限を 与えず、管理するものもおらず、当然ながら業績は芳しくない。既存の社内制度や 枠組みを崩すことを極端に嫌った結果である。 トップが考えることを放棄している上、市場原理を無視した組織論理だけがまかり通る。 といってA社には、技術的に枯れた製品で中国製品に対抗する持続的イノベーションも なく、他社に対して優位に立つビジネスモデルの構築もできない。というわけで事態は 徐々に悪くなっている。 停滞している産業を復興させるには、私がいう3層構造を確立し、 「知識」「お金」「人材」を循環させる構造を社内に作り出さなければならない。 3層とは、深層、中継層、表層である。 深層は、基礎研究開発力や知的財産権の獲得、人材の獲得と教育、社内風土など、 中継層は、製品開発戦略、組織や制度作りとその運用、 表層は、ビジネスモデルの確立、マーケティングやセールスの工夫、である。 例えば、表層のモデルを考える際には、独善的な判断に捉われず、世の中の流れを 読まないといけない。そうでないと、MP3に対応しない音楽プレーヤを作り、破壊的な ビジネスモデルを先に確立した者に市場を奪われるという事態が繰り返される。 3層構造に加え、人・組織をうまくマネジメントし、破壊的技術の導入や新しいビジネス モデルの獲得に向けて地道な努力を重ねることが求められる。 もちろん、あらゆる企業に当てはまる汎用的な方法はなく、それぞれの企業の置かれた 環境や条件に即して考えていくものである。教授は講演でこう述べていた。 「短期的利益を追うのではなく、長期的視点に立ってください」と。 生島 大嗣 (いくしま かずし) アイキット代表 http://www.i-kit.jp/ 大手電機メーカーで映像機器などの研究開発、情報システムに関する企画や 開発に取り組み、様々な経験を積んだ後、独立。 既存企業、ベンチャーのビジネスモデルと技術の評価、技術戦略と経営に関する コンサルティング、講演などに携わる。 執筆しているコラムのバックナンバー http://www.i-kit.jp/business/merumaga.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■日経ビズテック第9号発売中■■ 技術経営戦略誌「日経ビズテック」第9号は一般書店、Web書店で発売しております。 特集:「停滞産業復興計画」と「イノベーションで成り上がる 広島発祥企業の研究」 http://bpstore.nikkeibp.co.jp/item/main/148222224030.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■前号記事再掲 「広島発祥企業」に着目した理由■■ 「なぜ広島の企業を取り上げようと考えたのですか」。 日経ビズテック第9号で「イノベーションで成り上がる 広島発祥企業の研究」と 題した特集記事を掲載した。取材や寄稿依頼のために、広島県で発祥した企業や 広島大学、広島県庁などを訪問した際、この問いを必ず投げかけられた。 本メールでは、記事を企画した当時の編集会議の模様をお伝えする。 実は最初に検討したのは、広島発祥企業ではなく京都発祥企業の特集記事であった。 京セラ、ローム、村田製作所、島津製作所、ワコール、京都でベンチャーとして 創業し、全国企業やグローバル企業に羽ばたいた会社は多い。 ところが「京都発祥企業は様々なメディアで取り上げられている」と異論が出た。 そこで京都以外で特集を組める地域を全員で検討したところ、広島が急浮上した。 広島市の修道中学・高校を卒業した編集長の仲森が「広島生まれと知られていない 企業はたくさんある」とつぶやいた一言がきっかけである。 調べてみると、確かに広島で産声を上げた著名企業は驚くほど多い。 スナック菓子最大手のカルビー。郊外型紳士服店を展開する青山商事。 百円ショップの元祖ダイソーを展開する大創産業。コンビニチェーンのポプラ。 大手クレジットカード会社のオリコとライフ。 まだある。マツダ、福山通運、殺虫剤メーカーのフマキラー、セーラー万年筆、 パンのフランチャイズ「リトルマーメイド」を展開するアンデルセングループ、 ジャムで有名なアヲハタ、ヨーグルトのチチヤス、家電量販店のデオデオ、 総合建設会社のフジタと五洋建設、競技用ボールのモルテンなど枚挙に暇がない。 独創性をテコに飛躍した広島発祥企業の軌跡には学ぶべき点が数多くある。 都合5回、広島出張をして疲れがたまったけれど、充実した取材ができた。 その成果である特集記事にぜひ目を通していただければと思う。 日経ビズテック編集部 中野目 純一(なかのめ じゅんいち) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■技術経営関連サイトのご案内■■ 日経ビズテックは以下のサイトで「技術と経営」にかかわるコラムを発信しています。 『経営の情識』(経営とITを考えるコラム、日経ビジネス読者限定) ★9月30日更新 「答えは30年前からそこにある」 http://nb.nikkeibp.co.jp/ 『さよなら技術馬鹿』(技術者向けサイトTech-On!におけるコラム) ★9月21日更新 読者と「ダイソンする」を考える http://techon.nikkeibp.co.jp/column/yajima/ ============================================================================ ◆本メールは送信専用メールアドレスから配信されています。 このままご返信いただいてもお答えできませんのでご了承下さい。 ◆本メール掲載の内容に関するお問い合わせ、ご質問、ご意見は mailto:gkm@nikkeibp.co.jp までお願いします。 ◆広告掲載をご希望の方は mailto:gkm@nikkeibp.co.jp へお問い合わせ下さい。 ============================================================================ ◆本サービスの申込内容の追加・変更および配信停止は http://gkm.nikkeibp.co.jp/ をご参照下さい。 変更等の際には、登録時にご指定いただいたユーザーIDとパスワードが必要です。 ユーザーIDとパスワードが分からない場合は、 https://passport.nikkeibp.co.jp/bizpwd/search_pass/index.html でお調べ下さい。 ============================================================================ ◆配信されたメールを第三者に転送することやWebサイトへのアップはお断りします。 ◆著作権は日経BP社に帰属しますので記事を許可なく転載することを禁じます。 ============================================================================ Copyright(C)、日経BP社、2005 〒102-8622 東京都千代田区平河町2-7-6 ============================================================================ 次号は2005年10月11日(火曜)に配信する予定です。 |
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