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メー ルマガジン コラム バックナンバー |
| アイキット代表 生島 大嗣 がコラムを執筆しているメールマガジンのバックナンバーです。 |
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1. 「技術経営メール |
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生島の技術戦略思考 ◆ 第2回 |
| 2005年 8月 30日 |
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| ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ 技術経営メール 第21号 2005年8月30日 日経BP社 ┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 「技術経営メール」はイノベーション(新製品/新事業開発)に取り組むリーダーに 向けた電子メール配信サービスです。テクノロジーを生かしてビジネスを創造する ためのヒントを技術経営戦略誌「日経ビズテック」が毎週火曜日にお届けします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■生島の技術戦略思考・第2回・コモディティー商品と3層構造■■ 「技術経営」は、企業にとって実践的な手段であり、事業全体を戦略的に捉える 考え方である。第1回は、技術経営を具現化する「3層構造」を紹介した。 今回は、薄型テレビ事業を例に3層構造を考えてみよう。 ブラウン管を用いたテレビに置き換わるものとして、液晶やプラズマといった 薄型ディスプレイパネルを採用したテレビが大きな市場を形成しつつある。 代表格のシャープは、液晶ディスプレイの開発と生産拠点を国内に集約する戦略を とっている。液晶ディスプレイの開発と製造の技術を自社のコアとして守るために、 技術の流出に神経を尖らせている。さらに技術の流出を防止するだけではなく、 リードタイムを短縮し、協力会社と密な連携をとろうという戦略的意図が読み取れる。 シャープの「3層構造」を筆者は次のように見ている。 「深層」が独自技術と自社の技術者。 「中継層」は部品や材料の供給や加工の協力企業を含む国内の開発と生産方式。 「表層」のビジネスモデルは大きくは従来型メーカーと同じだが、 液晶ディスプレイの亀山工場をブランドとして打ち出す試みがなされている。 国内メーカーの多くは、シャープ同様、ディスプレイを自社生産している。 ただし、コスト低減を狙って海外に生産拠点を展開している点が、シャープとは 大きく異なる。こうした国内メーカーの「中継層」は国内と海外の拠点の連携による 生産となる。物流、部品や材料の供給方法、人材獲得や育成、配置、評価方法などで 異なる点が出てくる。 さらに韓国のメーカーを考えてみよう。韓国メーカーは後発であったため、 3層構造が多少異なっている。最近でこそ「深層」のコア技術に力を入れてきたが、 当初は「表層」として低価格戦略を検討するとともに、「中継層」においては、 海外、特に日本から生産技術や設備、そして技術者を大々的に導入してきた。 つまり、深層や中継層を構築するために社外リソースを積極活用したわけだ。 ここまで説明した企業の3層構造は、キーコンポーネンツを社内で調達する形だが、 社外から調達するモデルも当然存在する。 昨今の薄型テレビの場合は、ディスプレイパネルの供給を受ければ、 デルをはじめとするコンピュータメーカーもテレビを生産・販売できる。 これが、多くの台湾や中国メーカーが液晶テレビの生産に参入している理由である。 製品のディジタル化が大きな影響を及ぼしている。 台湾メーカーと提携したスーパーが自分で企画した液晶テレビを売ることもできる。 イオンは7月8日、グループ約400店舗で、32型液晶テレビを10万円で販売した。 1万台限定であったが、即日完売したという。 イオンは、台湾メーカーの東元電機に製造を委託した。 1万台を一日で販売できる店舗網という「表層」の強みを活かし低価格を実現した。 本来、キーコンポーネンツの開発や製造に必要な技術的なレベルが高く、 他社が追従できないのであれば、時間が経過してもコモディティーにはならない。 例えば、デジタルカメラに用いられるCCDは誰でも作れるものではなく、 CCDの供給メーカーは利益を確保できる構造を保持している。 技術的な障壁によりビジネスを守っている形だと言えよう。 ただ、CCDを使った最終商品のデジタルカメラはコモディティーになっている。 薄型テレビは、液晶ディスプレイというコンポーネンツともども、 コモディティー化の傾向が顕著になっている。この場合、3層構造の中で、 「表層」がより重要となる。 他社と差別化する要因はここしかないと言っても過言ではない。 消費者は技術にお金を払うのではなく、製品やサービスの機能、ブランドの価値 などに対価を払う。 製品やサービスに加え、ブランドまで含めた3層構造を考えなければならない。 各層の連携がうまくいかない場合やどこかの層の中身が欠けている場合、 ビジネスは回らない。うまくいかなかったビジネスを分析してみれば、 3層構造のどこかに問題が見つかるはずである。 逆に3層構造を作り出して維持できれば、製品やサービスをきちんと供給できる。 重要なのは、3層構造の優劣が製品やサービスの優劣を決めるということである。 家電業界は薄型ディスプレイの開発のために多くの時間とコストをかけてきた。 家電各社は一連の開発を他社と横並びの3層構造の中で行ってきた。 開発初期の段階において、現在の状況を予測するのは不可能だったかもしれないが 事業化から産業化へ至る現在の局面においては、 結果的に業界内で事業の整理と再編が不可避になっている。 薄型テレビの例だけでなく、他の製品やサービスにおいても、これからの展開を 考えるにあたっては、他社とは異なる3層構造を作り上げることが求められる。 独自構造を作り上げるカギは、事業部門や開発部門のリーダーのビジョンである。 時代を見抜く目とビジョンがなければ、他社と同じ事業構造になり、 消耗戦に突入する。3層構造の実現の仕方、即ち各層の組み立て方は本来、 企業の数だけ存在し、成功事例も複数存在する。まさに企業は千差万別である。 生島 大嗣 (いくしま かずし) アイキット代表 http://www.i-kit.jp/ 大手電機メーカーで映像機器などの研究開発、情報システムに関する企画や 開発に取り組み、様々な経験を積んだ後、独立。 既存企業、ベンチャーのビジネスモデルと技術の評価、技術戦略と経営に関する コンサルティング、講演などに携わる。 執筆しているコラムのバックナンバー http://www.i-kit.jp/business/merumaga.html ■■過去記事再掲・生島の技術戦略思考・第1回■■ わたしは技術経営を、大きく二本の柱としてとらえている。 「3層構造の確立」と「人・組織の問題解決」である。 まず3層構造の確立とは、利益を出す仕組みを考える、すなわち戦略の部分である。 この部分は3層に分けられる。まず「どうやって技術を獲得し維持するのか?」と いうことを考える「深層」部分がある。深層で検討すべきことは、 基礎研究開発力や知的財産権の獲得、人材の獲得と教育、社内風土などが関係する。 次に「どのように技術を製品に活かすのか?」を検討する「中継層」がある。 製品開発戦略(プロダクトアウトかマーケットインか)、組織や制度作りとその運用 といったテーマが中継層にかかわってくる。 3層目が「どのように技術を利益に結びつけるか?」であり、これを「表層」と呼ぶ。 ビジネスモデルの確立、マーケティングやセールスの工夫、といったテーマが入る。 以上の3層を確立したとしても、戦略通りに物事が進むとは限らない。 人・組織の問題が立ちふさがるからだ。したがって社員の能力を活かす仕組みを考え、 人にかかわる問題を解決していかなければならない。 その企業がベンチャーであろうが大企業であろうが、3層構造の各要素と 要素間の連携がなければ、その企業のビジネス活動はうまく回らない。 3層構造をうまく支えていく重要な要素が「人・組織」というわけである。 3層の中で「表層」は戦術の部分とも言えるが、世の中にはこの戦術に重きを置いて 考える傾向がある。確かに、この戦術は成果と直結、換言すればお金と結びつく。 しかし戦術に重きを置きすぎると、全体が見えなくなり、状況が変化しているのに 同じ戦術を繰り返すばかりで世の中の動きに対応できなくなる危険がある。 ■■前号記事再掲・停滞産業復興計画■■ 日経ビズテックは次号の特集テーマとして「停滞産業復興計画」を予定しています。 残念ながら、日本の産業界において、停滞感・閉塞感が広がっていると思います。 停滞産業とは、世界市場が成長しているのに、日本勢が振わないという意味です。 例を挙げれば、携帯電話、ゲーム、コンピュータ、半導体、時計、アパレルなど。 ゲームのように、期待していたほど世界の市場が伸びないという産業もありますが、 多くは市場が広がっていながら、日本の存在感が薄れている産業分野です。 時計や半導体はかつて技術力で市場を席巻し、我が世の春を謳歌しました。 しかし、欧米企業の逆襲を受け、アジア勢に攻め込まれ、昔日の面影はありません。 なぜ市場を拓けないのでしょうか。 拓いておきながら、なぜ他者の攻勢に屈してしまったのでしょうか。 その要因を分析するとともに、成長力と国際競争力を取り戻すための「復興計画」を 練り上げようというのが、特集の主旨です。 取材を重ね、編集部で議論していますが、どうも個別の産業の課題というより、 日本全体に共通する問題があると言えそうです。 皆様は、「停滞産業復興計画」というテーマでどのようなご意見をお持ちでしょうか。 ぜひ、ご意見をいただければと思っています。 技術経営メール責任者 谷島 宣之(やじま のぶゆき) mailto:gkm@nikkeibp.co.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■日経ビズテック第8号 発売中■■ 技術経営戦略誌「日経ビズテック」第8号は一般書店、Web書店で発売中です。 特集は「技術者問題を考える」と「価格の魔力」です。 http://bpstore.nikkeibp.co.jp/item/main/1482222239X0.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■アンケートのお願い■■ 日経ビズテック第8号に対する感想や要望、ご意見をぜひお聞かせ下さい。 アンケートの締切日は2005年9月20日です。以下のページから回答できます。 http://webres.nikkeibp.co.jp/user/biz8.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■関連サイトのご案内■■ 日経ビズテックは以下のサイトで「技術と経営」にかかわるコラムを発信しています。 『経営の情識』(経営とITを考えるコラム、日経ビジネス読者限定) ★8月31日更新 「『顧客の保護』はそんなに大事か」 http://nb.nikkeibp.co.jp/top.shtml 『さよなら技術馬鹿』(技術者向けサイトTech-On!におけるコラム) ★9月5日更新予定 「停滞産業復興計画」 http://techon.nikkeibp.co.jp/column/yajima/ 『記者の眼』(ITプロフェッショナル向けサイト「IT Pro」のコラム) ★8月5日更新 「何が技術者を殺すのか」 http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20050804/165911/ ============================================================================ ◆本メールは送信専用メールアドレスから配信されています。 このままご返信いただいてもお答えできませんのでご了承下さい。 ◆本メール掲載の内容に関するお問い合わせ、ご質問、ご意見は mailto:gkm@nikkeibp.co.jp 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