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メー ルマガジン コラム バックナンバー

  アイキット代表  生島 大嗣 がコラムを執筆しているメールマガジンのバックナンバーです。


 
2. 「ビジネスにマーケティングを走らせよ う!」

      ◆ 技術屋の視点 ◆


2004年 10月 14日

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       『ビジネスにマーケティング☆を走らせよう!』
             (週刊☆ビジマ)

    eビジネス,マーケティング,経営戦略を考えるためのヒント

   http://www.mankai.biz/        2004/10/14発行 No.186
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(1)『技術屋の視点 〜 ビジネスモデル・技術評価の裏側 〜』
                    技術戦略コンサルタント 生島大嗣
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        http://www.mankai.biz/からご覧になれます。


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☆『技術屋の視点 〜 ビジネスモデル・技術評価の裏側 〜』

             コモディティー化の罠

                    技術戦略コンサルタント 生島大嗣
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アイキットの生島です。

少し前の話になってしまいましたが、オリンピックに引き続いてイチロー選手の
シーズン最多安打記録で日本中が盛り上がりました。しかし、テレビのどの報道
番組を見ても同じような内容ではなかったでしょうか。NHKですら夜7時のニ
ュースで「後何本」と巨大なすごろく板を作って、アナウンサーがイチローの人
形を移動させて無理やり雰囲気を盛り上げようとしていました。

その前のアテネオリンピックでも、各局が有名選手、話題選手ばかりを追っかけ
ていました。乗馬を見ようとしても、ヨットを見たくても、どこもほとんど報道
してくれていません。NHKも同様の報道をしていました。

こんなことが気にかかっていると、先々週のNewsweek 日本版に、「イチローに
浮かれるNHKの無感覚」というコラムが掲載されていました。

イチローに関する記事が溢れている状態で、新しい取り上げ方は難しく、必死に
なりすぎて奇妙なっている報道があり、そのよい例がNHKの夜7時のニュース
だというのです。

そして、これが受信料で成り立っているNHKに人々が期待していることかと少
々手厳しい以下のようなコメントが付いていました。

NHKには、ニューヨークタイムズやBBCのような信頼される情報源としての
役割があるとし、視聴者にこびるコーナーは相応しくなく、民放がうらやむほど
の資金と人材を持つNHKには、派手な騒ぎは民放に任せて良質で手堅い報道に
徹するべきだと。

私はここでNHKのことをとやかく言うつもりはありませんが、私的には最近考
えていることと関連付けて気になったのです。

では、この記事と何が引っ掛かったのか、これからお話していきましょう。



▼ コモディティー化

最近、私は「コモディティー」という言葉、現象について考えています、という
か、考えさせられています。

コモディティー (commodity)とは生活必需品。日用品。商品のことなのですが、
近頃のNHKの報道姿勢を見ていると、NHKの方針がどうもコモディティー化
を目指しているように感じています。

ここまで読まれて、私が何をお話しようとしているかが予想できた方は、かなり
勘の鋭い方だと思います。では、もう少し詳しくお話しましょう。

大前研一氏の著作「ビジネス・ウエポン」には、以下のような内容が述べられて
います。

「ITの特徴は、情報化社会の進展により知的な産業がコモディティー化するこ
とである。コモディティーは、本来の日常品という意味の他に、あまり価値のな
いつまらないもの、値段を高くできない普及品という意味がある」

このコモディティーという言葉は、ITや情報産業関連でときどき耳にします。
しかしIT以外でも、最近の商品やサービスには、コモディティー化してしまっ
ているものが多くあるように感じています。

このコモディティー化とディジタル技術の普及に従い、実は多くの企業が対応を
余儀なくさせられている状況があるのです。

しかし、ビジネスの世界以外でも前述のNHKのように、自ら他の民放と同じ路
線を取ることにより、特異な立場を捨ててコモディティー化しようと、またはし
ないといけないと思う風潮が最近多いように思えるのです。



▼ 世の中は二極分化する方向へ

例えば、今日本では一流ブランドの高級品と中国で安価に、そして大量に生産さ
れる日常品が両方共売れています。

ベンツに代表される高級車と、マーチのようなコミュータ。
シャネルのような高級服とユニクロ。
高級食材を使ったホテルのレストランとコンビニ。
このような対比は枚挙にいとまはありません。

二極分化は、商品だけに留まりません。
例えば年収にも現れてきています。

企業で働く場合、年収が300から400万の層と800万以上の層との二極化
の兆しが見えています。

一方は契約社員や派遣社員に代表される層。そしてもう一方は資格や特別の技能
を持つスペシャリスト。

少し前までのゼネラリスト社員は、これからの社会では生き残りは難しくなって
きています。職制を単純化して中間管理職をなくす取り組みがいろいろな場面で
なされているのです。



▼ IT関連製品も二極分化

ディジタル技術を使ったIT関連機器と呼ばれる商品もこの影響を受け始めてい
ます。逆に、この流れが上で述べた流れを加速しているのかも知れません。

IT関連機器、即ちデジタル家電や情報家電、コンピュータ関連機器は、従来の
アナログ製品に比べると、設計に関しては複雑なノウハウや技能を必要としない
と言われています。

このため、デジタルカメラやMP3プレーヤ、DVDプレーヤ等は、極論すれば
デジタル回路設計ができれば誰にでも設計できるのです。

以前私が勤めていた会社でも、デジタル技術者養成の取り組みがなされていまし
たが、私は常々疑問を呈してきました。インドや中国と自ら同じ土俵に立つ必要
はないと考えていたのです。

実はこのあたりの経過が、冒頭で述べたNHKの方向性と繋がってくると感じて
いた訳なのです。



▼ コモディティーで勝つ方法

デジタル家電の代表格のデジタルカメラを考えてみましょう。

デジタルカメラは、その価格が5万円以下に集中するコンパクトデジカメ(コン
デジ)と10万円以上のデジタル一眼レフに二極化しています。
前者がコモディティー商品であり、後者が高級な付加価値商品と考えてよいでし
ょう。

コモディティー商品であるコンデジは、製品のライフサイクルが短く、メーカー
が利益を上げられるのは新製品の発売から2ヶ月余りと言われています。
新製品を買ってから半年でもう新型が出たと嘆くことになるのです。

それだけに開発競争が激しく、メーカーは疲弊しています。
このようなコモディティー商品のコンデジで主導権を握っているのは、実は基幹
部品(キーコンポーネンツ)であるCCDを開発しているSONYなのです。

多くのメーカーがSONY製のCCDを搭載しています。
実は、これ以外にあまり選択肢がないのです。

コンデジの画素数が、新製品が発売される毎に大きくなっていることはみなさん
御存知でしょう。コンデジを作っているメーカーとしては、SONYのCCDを
使う限りSONYのCCDの製品ロードマップに従うしかないのです。
主導権はSONYが握っている訳なのです。

CCDは、多くの企業が開発しようとしてきましたが、結局量産化と事業化に最
も成功したのはSONY1社なのです。
このように、コモディティー製品ではブラックボックスであるキーコンポーネン
ツを握る企業が勝者として君臨する構造になっているのです。

他の企業では、コンデジを作る限り大きなシェアを維持するしか生き残れないの
です。


デジタルカメラ以外の例としてDVDプレーヤを考えてみましょう。
皆さんご存知のように、DVDプレーヤは1万円以下で売られており、その多く
が中国で作られています。

日本メーカーは、結果的にコモディティー商品であるDVDプレーヤからは撤退
し、より高級な付加価値製品であるHDD内臓のDVDレコーダに移行していま
す。

HDD内臓のDVDレコーダは、薄型の大型テレビと並び日本の家電メーカーの
主力商品になっていますが、そう遠くない日にコモディティー商品化するのでは
ないかと私は考えています。


以上のようなコモディティー化の世界で生き残るには、キーコンポーネンツや製
品自体の徹底したブラックボックス化を図り、中国等の追従までの時間を稼ぐし
か方法はないように思えます。

しかし、もうひとつ方法があるのです。
例えばDELLコンピュータです。

DELLのコンピュータはそれ程優秀というわけではありませんが、市場では圧
倒的な優位に立っています。
その理由は、他社の追随を許さない徹底したコストダウンです。

DELLは、独自の部品調達から製造までを一気通貫で可能とするサプライチェ
ーンマネジメント(SCM)で世界的に有名です。
即ち、製品の企画、設計から部品調達、製造までをシステム化しており、更に独
自の直販方式で流通の省力化を実現して他社を圧倒的にリードしているのです。


今、日本の大メーカーも中国に製造を移したり、部品の調達方法を変更したりし
てコストの低減を図っています。
この結果、多くの仕事が海外に流失しているのが現実です。

実は、大メーカーの下請けを中国に取られてしまい、従来のビジネスができなく
なった企業からの依頼が私のところにも多くなってきており、このことが今回の
コラムを書くきっかけになっているのです。



▼ コモディティーをやめる方法

コモディティー化している状況でもうひとつの生き残りの方法は、商品に付加価
値を付けるというものです。

前述の高級ブランドもそうですし、最近よく見受けられる老舗ブランドの活用も
そのひとつです。

インターネットによる産地直送や咲本さんがコラムで書かれていた高級パン屋さ
んもその一例なのです。

この世界では、商品や企業の持つブランドが非常に大切になってきます。
高級ブランドを作り上げるために、実に多額の経費がかけられるのもこの世界な
のです。ブランディングという手法を聞かれたことのある方も多いでしょう。

面白いことに、コモディティー商品であるコンデジでもこの手法を採用している
ところがあります。
例えばライカがそうです。

ライカは、そのブランドを最大限活かしてライカブランドのコンデジを作ってい
ますが、中味は日本メーカーの作るコモディティー製品のコンデジと大差ありま
せん。

日本メーカーのコンデジの外観やレンズ、そして若干の仕様を変更したものにブ
ランド名を冠して価格を高く設定していますが、この商品が成立するのはブラン
ドの力を知り抜いているライカの実力と言えるでしょう。


おうひとつのコモディティーの罠から逃れる方法は、付加価値を付けた高級品を
扱うことです。先に述べたデジタル一眼レフがその好例でしょう。



▼ 二極分化の結末は?

このように、世の中は二極分化が始まっています。
そして、誰もがこれに巻き込まれようとしているのです。

商品だけでなく、私たちの生活そのものが影響を受け始めています。
デフレで安い商品が買えると喜んでばかりいられません。

そこそこの年収で、そこそこの製品を買い、分相応に楽しむといったことがもう
できなくなる世の中がそこまで来ているのかも知れません。

そして、私たちが気付かないまま、どちらの層に属するかの選択を否が応でも強
いられる世の中が到来するのでしょうか。

人生の二極分化。
あなたは、どちらを選びますか。
そして、どちらを選べますか。

それとも、第3の道があなたは見えているのでしょうか?



■ お知らせ

筆者は、10月から中小企業ベンチャー総合支援センター近畿のチーフアドバイザ
に就任しています。予め申し込んで頂ければ、無料で対面相談をお受けできます
ので活用下さい。
http://www.jasmec.go.jp/center/kinki/window/index.html
尚、お申し込みは支援センターに直接お願いします。


■ 筆者プロフィール
技術戦略、経営の総合コンサルティング
アイキット 代表  生島 大嗣(いくしま かずし 本名 生島 一司)
http://www.i-kit.jp/

<略歴>
大手家電メーカーの研究開発部門にて、ビデオ、液晶等映像機器、地上波ディジ
タルテレビ等の研究開発、コンピュータシステムに関する企画、開発等に取り組
む。独立後、ベンチャー企業や既存企業の技術、新規ビジネスモデルの評価及び
構築に関するアドバイス、講演等に携わる一方、国内外の企業間ビジネスアライ
アンスコーディネータとして活動している。

・大阪商工会議所 産学連携ITビジネスフォーラム コーディネータ
・関西IT共同体 コーディネータ
・中小企業ベンチャー総合支援センター近畿 チーフアドバイザ

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しています。
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       『ビジネスにマーケティング☆を走らせよう!』
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【編集後記】

◆髪の毛を切りにいきたいのだけど、なかなか時間がない・・・。うーむ。
(コヤマン)

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