アイキット ソリューションズ

   
メー ルマガジン コラム バックナンバー

  アイキット代表  生島 大嗣 がコラムを執筆しているメールマガジンのバックナンバーです。


 
2. 「ビジネスにマーケティングを走らせよ う!」

      ◆ 技術屋の視点 ◆


2003年 11月 12日

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       『ビジネスにマーケティング☆を走らせよう!』
             (週刊☆ビジマ)
                             
    eビジネス,マーケティング,経営戦略を考えるためのヒント

   http://www.mankai.biz/        2003/11/12発行 No.067
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☆『技術屋の視点 〜 ビジネスモデル・技術評価の裏側 〜』第10回

          個人の創造力を高める  <後編>
         〜イノベーションを可能にする組織〜

                    技術戦略コンサルタント 生島大嗣
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アイキットの生島です。
いよいよ「個人の創造力を高める」シリーズの最終章です。

前編では、「遊び心と創造力」に個人の切り口で迫りました。
中篇では、個人が活動する場としての組織を考える準備として「日本の組織」の
特色を再考しました。
今回の後編では、個人の能力を活かす組織をどうやって作っていけばよいか考え
ていきます。


コヤマン編集長とメールのやり取りをしている中で、彼が次のようなことを言っ
ていました。

「シリコンバレーのICはIndiaとChinaだって言われるくらい
  インド系、中国系の技術者は活躍してますよね。

  一方で、バイオの研究なんかは、日本人の研究者がたくさん活躍してます。
  彼らいわく、「日本の研究者のレベルのほうが高い」そうです。

  ただ、その彼らも結局アメリカに来なければならなかった理由があって
  そのあたり、日本の組織の限界が見え隠れしています」


いくら個人が優秀で、問題意識を持ち、前向きに努力しようとしても、組織がこ
れを受け入れてくれなければ能力を発揮することができません。
彼等が能力を発揮できる組織を変えていき、最終的には個人にも組織にも利益が
でるような仕掛けが今の日本の企業には求められているのではないでしょうか?



▼ 安定期の企業に起こる大企業病

深層から表層への流れを考えると、
「コンセプト」→「ビジョン」→「目的」→「目標」→「戦略」→「戦術」→
「アクション」→「フィードバック」
というようになっていることが分かります。

創業間もない小さな企業や、ベンチャー企業ではこの流れが比較的単純です。社
員の誰もがこの明確な流れを把握しています。組織を構成するひとりひとりが各
部門(各担当者)のミッションを把握しています。

遊んでいる人や無駄なことをやっていると当然他の人が見ています。マネジメン
トが正しく行われている限り、アウトプットを出さない人が組織に存在しにくい
状況なのです。従って、必要な人材が必要な場所にうまく配置される傾向が、安
定期の企業より大きくなるのです。

しかし企業が大きくなっり安定期になると、組織が複雑化し各組織のミッション
が見えにくくなってきます。よくある話なのですが、企業のミッションと部門の
ミッションにずれが生じてくるのです。

最悪の場合、部門の生き残りがその部門のミッションになってしまう例がありま
す。これではその部門はその会社にとってはお荷物になってしまいます。
これは、組織や人間の自己防衛本能のなせる業なのでしょう。



▼ K社のマネジメント 〜 ヒューマンオリエンテッドな組織運営

K社という200人規模の化学系のメーカーが関西にあります。70人が研究者
です。面白いことに、この会社は創業当時から定年という制度がありません。
「必ずその人が持っている能力に合う仕事がある筈だ」という会社の方針に沿っ
て、その人を活用できる仕事を作るということを数十年前から行っています。

最近、この企業は最近のグローバリズム、短期利益誘導一辺倒の時代にあって、
注目を集めています。リストラ、コスト、収益性だけのモデルの限界が見えてき
たということも原因ですが、ここにはもっと本質的なことが絡んでいるのです。

K社は、市場を睨んだ独自のプロダクトアウト戦略を取っています。その上で、
この戦略を実現するための人事制度、社風等を流行りに惑わされることなく、長
期間かけて地道に独自の方法で作り上げてきたのです。
その独自の方法というのが、ヒューマンオリエンテッドな考え方なのです。

従来の日本企業は、伝統的にタスクオリエンテッドな組織運営をしていました。
この方法は、まず仕事が先にあり、その仕事を誰にやらせるか、誰ができるのか
ということに着目して遂行するものなのです。その際、個人が何をやりたいか、
何をしたいかは問題にはされにくいのです。

K社は、社員ひとりひとりが何をしたいのか、何ができるのかという人間中心の
考えで組織運営をしています。勿論市場を睨み、売れる商品の開発に繋ぐという
努力は欠かせません。

K社の例は、組織をマネジメントしていく際のヒントを与えてくれる好例だと考
えています。



▼ 組織運用で会社は変わる

最近市場そのものが成熟する中で、顧客の変化が大きく、また突然意外な競争相
手が現れることもあります。
しかし、安定期になり変化を嫌う傾向にある組織では対応が困難です。変化する
顧客に付いていけず顧客を失い、競争相手にシェアを奪われてしまいます。

ではどのように会社を運営し、その組織自体を変化させていけばよいのでしょう
か?

組織を変化させるためには、組織の構成員である人を変化させる必要があります。
組織を構成するコンポーネンツである「人」は十人十色、千差万別です。
自分の所属する組織を構成する「人」がどのような特質を持つかにより、対応は
変わってくるでしょう。本質は同じでも、対応はそれこそ無限なのです。問題は、
如何にして最適な解を探すかなのです。

ところが、本質的なところは同じなのです。
ここではその本質について考えていきます。


儲ける仕組みが安定していた右肩上がりの時代では、組織運用は簡単でした。
上述のタスクオリエンテッドな考え方で事足りたのです。

例えば、幹部の姿勢は、このようなものだったのでしょう。

「会社の方針はこうだ! これに従ってやりなさい」
「すぐやれ。すぐ対応しろ」
「言ったとおりにしろ。文句は言うな」

というような上司の指示に従い、社員の姿勢は、

「やらされる」「指示を待つ」「してもらう」「そして陰で不満を言う」

というようなものだったのではないでしょうか。

しかし、世の中が変化し儲けるための仕組みが流動的になった昨今では、このよ
うな昔ながらの方法は通用しなくなってきています。
会社幹部の対応は、次のようなものでないといけないと考えています。前回述べ
たアメリカ的対応とは少々異なります。

「方向性は上層部が示す」
「具体的な対応は現場が作っていく」

社員の姿勢としては、

「自ら考える」「まずやってみる」「コミュニケーションを密にする」「人の話
を聞くようにする」

ということが求められます。

即ち社員ひとりひとりが自立し、社員と組織が自律して動くようにすることが必
要になるのです。



▼ 自律して動くためには何が必要か

これは組織のマネジメント、人の考え方、習慣、風土にまで根ざした問題だと考
えています。

「自律的に動け、自立しろ」と抽象的概念の号令をかけても社員は動けません。
「やらされる」「指示を待つ」「してもらう」「そして陰で不満を言う」という
文化に慣らされてきた社員には、急にそう言われてもどう動いてよいか分からな
いのです。
問題なのは、問題に気付き「自律的に動け、自立しろ」と掛け声をかける上層部
も答を持っていないことです。

では、どうすればよいのでしょうか?
面白いことに、うまくいっている会社の社員に聞いても答は出てこないでしょう。
それは、組織が、そして社内風土がうまくいくように既にできているからであり、
そこで働く個人は特別それを意識してはいないのです。

ですから、そのような会社の社員を引き抜いてきても、旧態依然とした組織では
よほどの卓越した人間でない限り能力を発揮できなくなります。

逆に、今まで腐っていた社員がうまく機能している組織に入ったとたんに、能力
を発揮することもあるのです。


では、どうすれば組織が変わり自律的に行動できるようになるのでしょうか?
それには次の2点が最も重要と考えています。本質の部分です。

A.社員が経営に対して信頼感が持てること
B.社員が仲間に対して信頼感が持てること

このような組織作り、運営が必要なのです。
実際には、組織を構成する人はひとりひとり異なります、その「人」により成り
立つ組織もさまざまです。ですから組織に合わせて、その対応は変わってくるの
です。ですから、本質は同じでも対応は無限なのです。



▼ 風土を培う仕掛けはいくらでもある

私は相談を受けた場合には、「週間☆ビジマ」のHPの技術経営のページに書い
た通り、会社を次の2つの視点で捉えます。
1.利益を出す仕組みがどうなっているか(3層構造)
2.社員の能力を活かす仕組みになっているか
http://www.mankai.biz/tec.html

1.は仕組み、会社の機能システムの問題です。問題点を抽出してこの点を改善
することは、比較的短期間に可能です。

しかし、2.の部分の改善には時間を要します。上層部に意識改革をお願いし、
問題点を見つけ出し、社員に自ら気付いてもらい、自分の問題として考え行動す
るように導いていかないといけません。

そして、きちんとした組織マネジメントでバックアップし、最後には社内風土と
して根付かせないと問題解決にはなりません。。

実際には、この部分はその会社を見て分析しないと対応できないことが常です。
何度も述べたように、具体的な対応方法は組織の数だけあるのです。


NEWSWEEK 日本版 2003.11.12 号に面白い記事がありました。
「30代から始める大人のリーダー教育」という記事なのですが、日本企業が若
手リーダーの養成のためのコースを設けるところが増えているという内容です。

ところが、CEO養成講座受講のメンバーに選ばれたといって勘違いするなと釘
を刺す人事部の例が出ていました。
せっかく上層部が組織を変えようとしているのに、中間でこういう対応を行って
いるようでは、またシリコンバレーに渡る日本人が増えるかも知れません。



■ 筆者プロフィール
技術戦略、技術経営の総合コンサルティング
アイキット 代表  生島 大嗣(いくしま かずし 改名)
http://www.i-kit.jp/

<略歴>
大手家電メーカーの研究開発部門にて、ビデオ、液晶等映像機器、地上波ディジ
タルテレビ等の研究開発、コンピュータシステムに関する企画、開発等に取り組
む。独立後、ベンチャー企業や既存企業の技術、新規ビジネスモデルの評価及び
構築に関するアドバイス、講演等に携わる。
大阪市立大学 工学部 非常勤講師(ベンチャー技術論 「技術と経営」担当)
大阪商工会議所 ITビジネスフォーラム コーディネータ

ご意見、ご感想、ご用命は以下のメールアドレスでもお待ちしています。
mailto: bijima@i-kit.jp

夢をカタチに! 起業や新規事業のための無料相談
http://www.nespla.jp/index.files/advise.htm

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       『ビジネスにマーケティング☆を走らせよう!』
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   ・発行部数
     まぐまぐ: 676部(ID:0000106852)
     melma! :  74部 (ID:m00086769)
     独自配信:   2部
     発行部数: 752部(2003年11月12日現在)

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