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メー ルマガジン コラム バックナンバー |
| アイキット代表 生島 大嗣 がコラムを執筆しているメールマガジンのバックナンバーです。 |
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2. 「ビジネスにマーケティング☆を走らせよ う!」 |
| ◆ 技 術 屋 の 視 点 ◆ |
| 2003年 8月 20日 | |
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┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 『ビジネスにマーケティング☆を走らせよう!』 (週刊☆ビジマ) eビジネス,マーケティング,経営戦略を考えるためのヒント http://www.tokeidai.net/works/ 2003/08/20発行 No.035 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ====================================================================☆彡 ☆『技術屋の視点 〜 ビジネスモデル・技術評価の裏側 〜』第6回 「おばさん達が喜ぶディジタルカメラ 〜情報家電の裏側」 技術戦略コンサルタント 生島大嗣 ======================================================================== アイキットの生島です。 今回はディジタルカメラのお話です。 昨年のある日、喫茶店でのことです。隣の机でディジタルカメラについて盛り上 がっているおばちゃん達の一団ががいました。 彼女達の話題がディジタルカメラだったのです。 一番機械に疎いと言われる層の人達が、ディジタルカメラという機械についてワ イワイと盛り上がっていたのです。 横で聞いていて、ディジタルカメラやっと世に認められる段階に来たのだと実感 しました。 現在日本は不況だ、デフレだと騒がれていますが、本当に日本の力は尽きてしま ったのでしょうか? 私は今の状況を表面上の調整の時期だと見ています。 製造業の視点から見てみましょう。技術開発は途切れることなく続いています。 まったく過去停滞することなく現在に到っているのです。 これは、深層の「技術」の部分です。 表層の、特にお金が回るところの状況が一変してしまったので、これに伴うビジ ネスモデルが一変しているのは事実です。うまくこれに適応できず、あらゆる側 面で振りまわされているというのが現状でしょう。 ▼ LSIを巡るビジネス LSIというICの名前をお聞きになったことがあると思います。 PCに使われているCPUや各種コントローラもそのひとつです。他に自動販売 機、電話機、洗濯機や電子レンジ等の家電全般、自動車、携帯電話等、今では電 気で動くあらゆる物に組み込まれて私達の身の回りで使われています。 これらは「組み込み(embedded)技術」と呼ばれています。 96年ぐらいまでは、LSI市場を牽引するものはPCでした。 これに組み込まれて動くソフトの代表が Windows です。 同じコンピュータでも、サーバになると Windows はPC程市場を独占できてい ません。Unix等のOSがあるのはご存知でしょう。ましてや機器組み込みのOS となると、Windowsはまったく普及していません。もっと軽く動き、信頼性が高 いものが必要なのです。エアコンを起動するのに数分待たされ、挙句の果てにバ グでフリーズなんて許されません。 日本の場合、97年以降になるとLSI市場をドライブするものはPCから情報 家電に徐々にシフトしています。 家電の機能を高くする手段としては、ハードで実現するかソフトで実現するかの 2通りが考えられますが、コスト、仕様の変更の容易さからソフトで実現するの が一般的です。 ハードウェアもプログラミング可能なLSIで実現されている部分が大きいので す。現在ではLSIの設計も機能記述言語でプログラミングして、LSIを製造 するためのマスクを作っています。 基本的なあらゆる機能を網羅したコントローラをLSIで実現し、更にそれらを 利用して機器の機能を実現するためのソフトを動かすためにCPUというLSI を組み込むという形が一般的なのです。 ▼ LSI市場をドライブする商品は一夜にして現れたのではない このようにして作られる家電の新しい製品の代表が ・ディジタルカメラ(DSC) ・ディジタルテレビ(DTV) ・ディジタルビデオディスク(DVD) です。これらが今新しい市場を作りつつあります。 余談ですが、私は家電メーカーを辞める前の最後の仕事はDTVの開発でした。 市場にはいきなり出てきたような感じがありますが、製品の開発自体は何年も前 から行われています。 基礎的な研究となるともっと遡ることができます。尤も、本当に基礎的な研究を 行っていたころは、その技術がこのような製品に使われること自体が当時では予 想できなかったかもしれません。ある程度は予想できたでしょうが、製品の詳細 な部分は基礎研究の期間には分からないものです。 これが深層部分の技術の本質です。この深層の技術がないと表層の商品は生まれ ないのです。この深層の技術の可能性を読み取り、表層のビジネスに繋ぐという 部分が大切なのですが、表層から眺めているだけではなかなか世の中の流れは読 めないでしょう。 さて今日の本題のディジタルカメラに戻りましょう。 私とディジタルカメラとの出会いはもう20年以上前に遡ります。 当時私は大学の研究室の学生でした。 研究室の仲間が、中古の白黒ビデオカメラを遊び半分でジャンク屋で買ってきま した。 この映像を取り込むためのRAMと呼ばれるメモリをずらっと並べ、これをコント ロールする回路を組み込んだ基板を設計し、更にこの回路基板をコントロールす るためのPCに繋いで画像を処理する実験をしていました。 回路基板が上述のハード部分に相当し、PCがソフト部分に相当します。 PCは日立のベーシックマスターレベル?と呼ばれるもので、ソフトはベーシッ クで組んでいました。RAMは1ヶ当たり2Kbitしかありませんでした。 画像を基板に並べたRAMに取り込むのに2秒、それをソフトで処理するのに数十秒 から数分かかりました。画像をプリントアウトするには、当時はインクジェット 等のプリンタがなく、ドットインパクトプリンタを使いました。異なったキャラ クタ(文字)を並べて濃淡を出したのです。 使える予算は数万円のレベルでしたのでこれが精一杯でしたが、当時の技術もこ んなものだったので、予算があっても状況は変わらなかったでしょう。 システム全体は手押し車に乗せないと移動できない大きさで、勿論電源も必要で した。 当時使った技術の原理は現在のディジタルカメラとまったく同じです。 実現するために使えるできる技術レベル、即ち部品等の技術レベルがまったく現 在と違ったのです。 現在の製品を実現するためには以下の技術が必要でした。 ・高解像度CCD(当時は撮像管と呼ばれる真空管を使っていました) ・低消費電力で大容量のメモリと高性能のLSI (LSI微細加工技術、LSI設計ツール 等) ・カラーフィルタによるカラー化 ・各部品の小型化 ・高性能の電池 ・画像を保存するためのフラッシュメモリ これらが実現する前に、アナログ技術でカメラを作ろうとしたのが1980年代 の初めに出てきたアナログマビカでした。アナログのテレビ信号をそのままアナ ログの磁気ディスクに記録したのですが、ほとんど売れなかったのです。 その性能も原因でした。画質も悪く、記録できる枚数も限られていました。 しかし失敗した原因を突き詰めて言うと、これがメーカー側の一方的な論理で作 られたシーズ指向のものだったからだと考えています。 物が売れるにはいくつかの要因があります。 まず、他に同じ機能を提供してくれるの競合の製品を考えなければなりません。 この場合、一番の競合はフィルムを使用したカメラです。当然のことながらフィ ルムを使用したカメラは世界的に広く普及しています。性能もよく値段もこなれ ていました。フィルムも世界中どこでも買えます。 この便利で高性能のフィルムカメラに比べ、高価で性能もよくなく、便利でもな いアナログマビカはマーケットに受け入れられることがなかったのです。 初期のディジタルカメラの性能もよく似たものでした。 ところが、カシオが1995年に発売した QV-10 というカメラが新しい物好きの間 でヒットしました。撮影アングルが自由に選べる回転レンズで自分撮りもでき、 軽量コンパクトだったのです。値段もフィルムカメラに比べて安くはなかったの ですがヒットしたのです。解像度も25万画素で決してプリントアウトに耐え得 るものではありませんでした。 ▼ ディジタルカメラ成功の原因 成功の原因は、回転レンズと言う新しい機能、要らなければ消してまた撮るとい う手軽さが挙げられます。しかし、それにも増して最も大きな要因はPCとの連 携でしょう。 1995年はインターネットが徐々に普及し始めた時期と重なるのです。 PCに画像を保存する、メールに画像を添付する、HomePageに利用する等の新し い使い方にマッチしていたのです。 私的な話ですが、私はQV-10を購入せず、リコーのDC-1、翌年のDC-2Lを購入しま した。私は旅行に出ると数十本のフィルムを使います。 ですから、内臓のフィラッシュメモリしか使えない機種では撮影枚数に限度があ り、とても使えなかったのです。 1996年からは、フィルムカメラを完全にディジタルカメラに置き換えました。 PCでの画像のレタッチ作業が、暗室での作業をより簡単にしたために、これに はまってしまったのです。 一方、画質的にはまったく不満でした。しかし、LSI、メモリの進歩の速度と コストダウンを考えると、画質もコストも満足できるようになるには5年もかか らないという確信がありました。新しい可能性に対する魅力があったのです。 ディジタルカメラに飛びついた他の新しい物好きの人達も同じような予感があっ たのではないでしょうか。 1998年に100万画素を超えるCCDを搭載したカメラが発売され、画質的には一応プ リントアウトに耐え得る最低レベルをクリアしました。 余談ですが、この時期のカメラで私が撮影した写真があります。 http://www.steves-digicams.com/dpotd_oct98.html のThe Vatican Kazushi Ikushimaというものがそれです。 フィルムカメラに取って代わり、作品を撮影できるというカメラの登場です。 しかし、このときに使用していたNikonのCoolpix900というカメラは、コントロ ーラ部分の多くをソフトで処理しており、この部分の速度が遅くテンポよく撮影 できるレベルではありませんでした。撮影時には本当にいらいらさせられたので す。当時から三洋電機がコントローラをハードで実現した爆速カメラを作ってい ましたが、ターゲット層の違いを差し引いてもカメラとしての使い勝手はNikon の方が上でした。 実は、Coolpix900は三洋がOEMで作っていたというのは有名な話なのですが、カ メラという製品に対する考え方はカメラメーカーの方が格段に優れていると言う ことができます。 これは技術ではなく、市場とユーザを如何に知り尽くしているか、そしてその市 場に対する製品作りに蓄積されたノウハウがあるかの差が原因なのです。 現在では、ディジタルカメラの生産量がフィルムカメラのそれを追い抜き、まだ まだ増加しています。携帯電話にも100万画素以上のカメラが搭載され、秋には 200万画素カメラを搭載した携帯電話が出ようとしています。 今年くらいから最終ターゲットのPCを使わない層にも徐々に浸透しようとして います。フラッシュメモリをDPEショップに持って行ってプリントするという 方法も一般的になってきました。ショップでは高価なディジタル対応のシステム を導入しないといけないというハードルがありますが、ディジタルカメラの台数 に押されてこれが進んでいます。商業施設には自動プリントアウトの機械が設置 されるようになってきました。 これからは、DTVとDVD+HDDレコーダの普及も進んでいくでしょう。 日本の細かいところまで行き届いた製品作りが活かされてきます。 LSI生産のけん引役がPCから、どんどん情報家電にも移ってきます。 移るというより相乗効果が期待できる製品が出てきます。 製品作りは、LSIおよびこれを動かすソフトを開発することが重要になってき ていますが、プロジェクトマネジメント(PM)という手法が普及し、開発の速 度も昔に比べて格段に速くなっています。 マスコミの情報を見ると悲観的なことがまだ多いですが、マスコミは表面の統計 データから情報を得ています。リアルの経済、特に製造業はじわりじわりと昨年 ぐらいから動いています。この辺りは現場を知らないと実感できません。 さて、5年後、10年後、次にどんな製品、サービスが出てくるのでしょう。 読者のみなさんには見えていますか? では、次回をお楽しみに。 ■プロフィール エレクトロニクス、情報技術の総合技術戦略コンサルタント アイキット 代表 生島 大嗣 <略歴> 大手家電メーカーの研究開発部門にて、ビデオ、液晶等映像機器、地上波ディジ タルテレビ等の研究開発、コンピュータシステムに関する企画、開発等に取り組 む。独立後、ベンチャー企業や既存企業の技術、新規ビジネスモデルの評価及び 構築に関するアドバイス、講演等に携わる。大阪市立大学 非常勤講師。 ご意見、ご感想、ご用命は以下のメールアドレスでお待ちしています。 mailto: bijima@i-kit.jp 夢をカタチに! 起業や新規事業のための無料相談をここでお受けしています。 ↓ ↓ ↓ http://www.nespla.jp/index.files/advise.htm みなさんのご意見、ご感想、お待ちいたしております! mailto:marketing@tokeidai.net ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 『ビジネスにマーケティング☆を走らせよう!』 (週刊☆ビジマ) ・発行部数 まぐまぐ: 605部(ID:0000106852) melma! : 76部 (ID:m00086769) 発行部数: 681部(2003年8月20日現在) 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