アイキット ソリューションズ

   
メー ルマガジン コラム バックナンバー

  アイキット代表  生島 大嗣 がコラムを執筆しているメールマガジンのバックナンバーです。


 
2. 「ビジネスにマーケティングを走らせよ う!」

      ◆ 技術屋の視点 ◆


2003年 5月 21日

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       『ビジネスにマーケティング☆を走らせよう!』
             (週刊☆ビジマ)
                             
    eビジネス,マーケティング,経営戦略を考えるためのヒント

   http://www.tokeidai.net/works/    2003/05/21発行 No.010
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【 CONTENTS 】
☆『技術屋の視点 〜 ビジネスモデル・技術評価の裏側 〜』vol.2
                    技術戦略アドバイザ  生島 大嗣

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みなさん、こんにちは!
【週刊☆ビジマ】編集のコヤマンです。


今回の技術戦略アドバイザ 生島さんの連載は「基本」の重要性について。

具体的なプロジェクトの話など、読みながらドキドキしちゃいます。
(まるでProjectXみたいです!)

夢をカタチにするためには、いくつもの具体的な問題を
解決していかなくちゃいけない。

技術開発の裏にある、そんな当たり前だけど忘れがちなことを
思い起こしました。


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『技術屋の視点 〜 ビジネスモデル・技術評価の裏側 〜』vol.2

                     技術戦略アドバイザ  生島 大嗣
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アイキットの生島です。
私は技術戦略アドバイザ、場合によっては技術戦略コンサルタントを名乗ってい
ますが、このような仕事をしていると領域がどんどん広がっていくことがありま
す。
あるハイテク企業の技術者の人事評価制度を作るという仕事にも関わったことが
ありますが、これは技術者のことがよく分かるのではないかということから依頼
された仕事でした。

このように、現在は技術評価から広がっていった仕事もいろいろと依頼されるよ
うになりました。今回は、このような仕事をしていて感じたことをお話したいと
思います。テーマは、「基本が大事」です。


▼「基本が大事」当たり前のことを忘れるな 〜 A社の場合

大手メーカーのA社から緊急だという連絡を受けお伺いしました。A社では、あ
る機器とそれを動かすソフトを作っています。
最近の組織変更で、関西の営業部隊と関東の技術・製造部隊が同じ子会社に再編
されました。

今回この会社では、関西の営業部隊でソフト部分を作ることになりましたが、こ
れがうまくいかなくなったのです。
「リリースが遅れたら1ヶ月いくらの損失が出る、助けてくれ」という緊急のヘ
ルプが私のところにやってきた訳です。

話を聞くと、営業部隊で唯一ソフト開発ができる者がリーダーとなり、外注先B
社の派遣プログラマを使って1年近く開発を続けていたそうですが、なんとこれ
が頓挫寸前だというのです。
リリースまで数ヶ月しかなかったのですが、完成には程遠い状態でした。

関係者にヒアリングを行うと、以下のような問題点が出てきました。

1)リーダーが個人プレーばかり行い、自分の趣味で変更を繰り返していました。
  外注先のB社はこれに振り回されており、限界にきていました。A社へのこれ
  以上の協力も遠回しに断る方向でした。
2)開発チームは、営業部隊の部屋に同居をしており、チームとしてソフト開発が
  行える環境ではありませんでした。派遣プログラマには不満が溜まっていまし
  た。
3)組織変更で同じ会社になった、関西と関東の部隊間には「営業」と「技術」と
  いう組織間の確執が残っており、円滑な協力ができていませんでした。
4)開発人員が絶対的に足りませんでした。

こうなるともはや技術の問題ではありません。プロジェクトマネジメントの問題
です。
私は外部の人間でありながら、このプロジェクトマネジメントを依頼されたので
した。それも常駐ではなく、1週間に1度の訪問で行うようにとの依頼でした。

私からの提案は以下の通りでした。

・短期間にソフト開発を行うのに必要な人員を確保する。
・リーダーの教育を行っていく。(コーティングになりますね)
・開発チームの専用の部屋を用意してもらう。内部に用意できないなら、外部に
  借りてでも用意する。
・私が進捗を管理できるように週に一度の定例ミーティング行い、これには関東
  のチームからもリーダーを出張で参加させてもらう。

しかし、このうちで実現できたものは少なかったのです。
私が関西のリーダーをコーティングにより教育することと、関東のチームリーダ
ーに定例ミーティングに参加するように説得することはできたのですが、他はい
くら粘っても全て却下されてしまいました。

いつまでにリリースするということだけが重要で、そのために本当に必要なもの
は何か、しないといけないことは何かという最も重要で簡単なことが実行されな
かったのです。

これは私の実行力不足と言ってしまえばそれまでの話です。
しかし問題は、外部の目で見れば当たり前のことが、社内だけの論理で全て否定
されてしまったということなのです。

それでも、チームメンバーに無理をお願いしてプロジェクトを進め、なんとか完
成する目星は付くようになっていたのですが、他の理由で私がプロジェクトから
外れることになってしまいました。
結果はご想像にお任せしますが、実に惨憺たるものでした。



▼「基本が大事」初めの方向を見失うな 〜 C社の場合

C社から、「JR東日本のスイカのような非接触ICカードを乗車券システムに
採用したい。しかし、あるところから見積りを取ったら値段が思ったより高い。
他に同様の安いシステムはないのか」という調査依頼を受けました。

C社では、新しい実験的試みとして、地域と交通システムの融合を考えていまし
た。地域の商業と交通システムで、共通のカードシステムを使おうという発想か
らスタートしたのです。

当初、磁気カード等も考えていたのですが、話を進めるうちに夢は膨らみ続け、
「こんな技術もあるらしい」とか「これは便利だ」というように本来の事業目的
からだんだんと離れたものに夢中になっていったのです。

現在、非接触ICカードは多くの会社が取り扱っています。主な大手メーカーの
担当部署にヒアリングを行い多くの情報を集めました。
営業ではなく技術に近い部門に調査をかけたため、技術者同士の話としてかなり
の量の生の情報を集めることができました。

この結果分かったのは、小ロットで非接触ICカードというシステムをを採用す
れば、どのメーカーのシステムを採用してもあるコストがかかるということでし
た。

次にこの結果をまとめ、C社に報告をしました。
ただし、非接触のICカードでは費用がかり過ぎるし、C社の考えているビジネ
スには必ずしもここまでの機能は必要ないという方向で納得してもらえる形に話
を持っていきました。これは一種のコーティングかも知れませんね。

C社の社長および担当の方には、私の話を真剣にかつ柔軟に受け止めて頂きまし
た。その結果、方向性を修正するように再考を始めて頂いています。
現在は、セキュリティーを高めた磁気カードシステムやICタグを埋め込んだカ
ードを検討されています。

よくあることですが、最初の理由を忘れてアイデアや技術だけが一人歩きし、結
果的にオーバースペックのシステムを導入したり、ビジネス遂行に本当に必要な
ものや方向性を忘れて間違った方向に進んでしまうことがあります。
C社の場合もあれもこれもと欲張りはじめたため、できることと必要なことの見
分けがつかなくなっていたのだと思っています。
幸いC社では、うまく方向修正して頂くことができました。


▼ 基本を間違えるな! 〜 修正することを恐れないで

今回取り上げた、A社とC社ではどこが違うのでしょうか。
もうお分かりですね。

A社は社内の論理を優先させてしまい、本当に何が必要かという基本を見誤った
のです。C社は、最初は何を求めていたかに立ち帰ることができました。

ビジネスというものは、できることと必要なことの見極めが大事です。
また、当たり前の常識が通用しない社内の論理・風土が存在する場合もあります
が、これを恐れず人間力で突破することも必要でしょう。
しかし、本当に大事なのは基本というものを見失わないことなのです。

もし、その道を外れたら...
それに気付く頭の柔らかさと感受性、間違いを修正する勇気と人間力を持つこと
が大事だと考えています。

では、次回をお楽しみに。


■プロフィール
エレクトロニクス、情報技術の総合技術戦略コンサルティング
アイキット 代表  生島 大嗣(いくしま かずし)

<略歴>
大手家電メーカーの研究開発部門にて、ビデオ、液晶等映像機器、地上波ディジ
タルテレビ等の研究開発、コンピュータシステムに関する企画、開発等に取り組
む。独立後、ベンチャー企業や既存企業の技術、新規ビジネスモデルの評価及び
構築に関するアドバイス、講演等に携わる。大阪市立大学 非常勤講師。
アイキット ホームページ
http://www.i-kit.jp/

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mailto:bijima@i-kit.jp

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       『ビジネスにマーケティング☆を走らせよう!』
             (週刊☆ビジマ)

   ・発行部数
     まぐまぐ: 567部(ID:0000106852)
     melma! :  74部 (ID:m00086769)
     発行部数: 641部(2003年5月21日現在)

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